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山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国―

田中克彦「ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国―」
                       (岩波新書、2009年)

ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国 (岩波新書)総合評価:★★★★★

 日本とソ連という大国間の軍事衝突となったノモンハン事件だが、直接の国境当事者はモンゴルと満州国であった。彼らはただの傀儡国家、あるいは巻き添えになった不運な犠牲者だったのか、それとも大国に流されるだけではなくて独自の試みもあったのか。
 モンゴル人にとっては「事件」を超えた「戦争」であった戦いについて、モンゴルに造詣の深い研究者が新たな視点を提示する。

ビルマ独立秘史―その名は南機関

泉谷達郎「ビルマ独立秘史―その名は南機関―」
                    (徳間文庫、1989年)

総合評価:★★★★★
 太平洋戦争中、ビルマの独立運動を支援するために作られた日本軍特務機関「南機関」があった。開戦前から、オンサンやネ・ウィンらビルマ独立派の活動家たちと密かに接触し、活動の準備を進めていたのだ。その目標は、ビルマ独立義勇軍(BIA)の組織。
 中野学校出身者で元機関員の著者が、元機関長や幹部たちから集めた情報も基に明らかにした、特務機関の活躍と挫折の記録。

間に合わなかった兵器―もう一つの第二次世界大戦

徳田八郎衛「間に合わなかった兵器―もう一つの第二次世界大戦」
                         (光人社NF文庫、2001年)

間に合わなかった兵器―もう一つの第二次世界大戦 (光人社NF文庫)総合評価:★★★★★
 太平洋戦争において日本は兵器の物量だけによって負けたのではない。兵器の質においても、粗末な設計で低品質なものだったのである。日本の歩兵には、連合国軍の戦車に対抗できる対戦車砲やロケット弾も無く、兵士たちは爆薬を抱えて肉薄攻撃するしかなかった。本土防空網も不完全で、バトル・オブ・ジャパンは実現できなかった。
 では、新型の対戦車兵器やレーダーは、どうして「間に合わなかった兵器」となったのか。その背景には、単に工業水準の問題だけではなく、軍関係者の科学技術への無理解、技術者の現場への無関心、計画的でない開発といった失敗要因があったのだ。
 枢軸国の兵器開発の失敗事情を、自衛隊で装備開発に携わってきた元一佐が解き明かす。

ノモンハンの真実 日ソ戦車戦の実相

 2009年はノモンハン事件からちょうど70年にあたるためか、いろいろと関連書籍・ニュースが多いような気がします。その中で比較的最近に出た1冊を紹介。


古是三春「ノモンハンの真実 日ソ戦車戦の実相」
                 (産経新聞出版、2009年)

ノモンハンの真実 日ソ戦車戦の実相総合評価:★★★★☆
 ノモンハン事件の地上戦で日本の戦車はソ連戦車に一方的に負け、航空戦では日本軍が質では圧倒的で大勝利だったが物量には苦しんだ……というのは真実なのか。いや、日本の戦車隊指揮官の手記、ソ連戦車の装甲厚などを見ていくと、必ずしも一方的に撃破されていたわけではなかったのである。
 雑誌「PANZER」での連載をベースに、その後のソ連資料を用いて大幅加筆した戦史研究書。

戦場の一年

 第一次世界大戦というと、日本ではあまり大きく取り上げられません。
 その中でも特に、イタリア戦線での戦いとなると、ほとんど資料が無いような気がします。オーストリア=ハンガリー二重帝国とイタリアの間で、イソンゾ河やアドリア海などでしつこく戦闘が行われて、多くの犠牲が生じているのですが。


エミリオ・ルッス「戦場の一年」
 柴野均(訳) (原題“Un anno sull'altipiano”)(白水社、2004年)

戦場の一年 (白水uブックス―海外小説の誘惑)総合評価:★★★★☆
 第一次世界大戦中の北部イタリア戦線でのイタリア軍の戦いを描いた自伝的小説。映画「Uomini Contro(敵対し合う人々)」(1970年)の原作。
 「サヴォイア」の掛け声とともに勇敢な突撃をしていた兵士たちは、一年も膠着する戦況、不十分な兵器、狂気に満ちた師団長の命令に次第に疲れ、酒浸りになっていく。そしてついにはサボタージュが広がってしまう。
 心に強く残った出来事だけを拾い集めて、日本人の知らない不毛な戦場の光景を描き出す。
プロフィール

山猫男爵

Author:山猫男爵
ここは「塹壕文庫」「山猫文庫第二壕」に続いて三代目のブログになります。
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