山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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 電車に乗って、都心の大型書店へ出かけてきました。
 ある女性への贈り物を用意しなければならないことになったからです。何にしようかとしばらく考えてはいたのですが、自分のセンスの無さやらから、結局本にすることにしてしまったのです。

 久しぶりのその書店は、大変繁盛している様子でした。
 まずは、事前に目をつけておいたファンタジー小説を買って包んでもらい、とりあえず目的を達成。具体的になんという本かは、内緒です。クリスマス前ということがあってか、プレゼント用の包装をする店員さんも手馴れた様子でした。
 後は、せっかくなので適当に店内をうろついて、立ち読みなどすることにいたしました。

 平積みになった本を眺めていくと、ずいぶんと意外な本が並んでいて驚きました。
 まず、岡嶋二人のコーナーが出来ていたこと。「99%の誘拐」が、宝島社「この文庫がすごい」ミステリー部門第1位に選ばれたからのようです。一瞬、岡嶋二人が再結成でもしたのかと思ってしまいました。しかし、どうして急に今頃「99%の誘拐」なのか、謎です。私の好きな「クラインの壺」も並んでいました。
 それから、ハインラインの「人形つかい」が、新装丁になって平積みになっていたのにも驚きました。以前は西洋人形の表紙だったのが、捜査官と現場保存用のテープが描かれたライトノベル風のものに変わっていたのです。同名タイトルの別作品かと思ったのですが、やはりハインラインの同じ作品でした。
 見れば、他にも新装になったハヤカワSFが並んでいます。ファンタジーブームに乗って、早川書房が、SFに力を入れ直してくれるということなのでしょうか。だとすれば、うれしい限りです。

 新刊の文庫本を中心に、10冊ばかり購入。ちょっといいなと思える絵本もみつけたので、それも、最初に買った本と一緒に包んでもらいました。

 これで、懸案のプレゼントも用意できたことですし、正月に叔父の家へ行く荷造りも早く済ませなければと思います。
 後は、今日買った本の選択が間違っていなかったかが、心配なところです。このクリスマスプレゼント兼お年玉を、小さい従妹が気に入ってくれると良いのですが。
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武装島田倉庫

椎名誠「武装島田倉庫」
          (新潮文庫、1993年)

武装島田倉庫 (新潮文庫)総合評価:★★★★★
 「戦争」で南北に国が分裂、荒廃し、異常生物がうろつく世界を舞台とした7話の連作短編集。

「武装島田倉庫」
 可児才蔵は、倉庫会社「島田倉庫」に就職した。
 北政府の操る白拍子の襲撃に備えるため、島田倉庫は武装をすることになった。

「泥濘湾連絡船」
 橋が修復不能なことに目をつけた漬汁屋は、渡し舟をはじめる。
 定吉は船の操縦をすることになり、盲目の超能力少女の誘導のもと、泥濘に乗り出す。

「総崩川脱出記」
 北政府軍の接近に、捨三少年たち一族は、逃避行を始める。

 「アドバード」「水域」と並ぶ、椎名誠による異常世界SF、シーナワールドのひとつです。
 説明無しに、奇妙奇天烈な生物や道具がでてくるのは、シーナ作品共通です。例を挙げておくと、フーゼル油、三足踊豆、壺口、ねご銃など。私が気に入ったのは、動物遺伝子を組み込んだ豆らしい三足踊豆と、フーゼル油で動く作業機械カニムカデといったところです。

笛の音

 よく晴れて、寒い一日。陽は眼には痛いほどにまぶしいけれど、夏の、まぶたを閉じても光の圧力を感じるような、力のある光ではなく。
 電車の警笛や、自転車で巡る豆腐屋の笛の音が、よく聞こえます。その音が止むと、辺りが全くの無音のように感じます。

 何気なく外へ出てみると、石段の上でこおろぎが死んでいました。どこで生き延びていたのか、不思議です。 軽くつま先でつつくと、からからに乾いた体は、あっさりと脇の落ち葉の中に飛んで消えてしまいました。

光の雨

 暮れ行く2005年は、戦後60年ということで、世の中では太平洋戦争を振り返ることが多かったように思います。
 日本で「戦後」というと、普通は太平洋戦争後を指します。それ以来、日本は戦争を経験していないということですが、かかる日本で戦争を起こそうとした人々がいます。といっても10年前に世界最終戦争(ハルマゲドン)を企画した方の人々ではなく、それよりも前のほうの話です。
 本日お送りするのは、今日12月15日が誕生日の作者が代弁する、彼らの物語。


立松和平「光の雨」
        (新潮文庫,2001年)

光の雨 (新潮文庫)総合評価:★★★★☆
 予備校生の満也は、アパートの隣室に住む奇妙な老人に問いかけられる。
「君は革命を知っているか」
 玉井潔と名乗る老人は、自分はもうすぐ死ぬと言う。そして、どうかぼくの話を聞いて欲しいと、かつて「革命」を夢見た「兵士」たちが起こした「殲滅戦」について語り始める。
 14人の若者は、なぜ「同志」によって雪山で殺されなければならなかったのか。忌まわしい事件から60年を経た2030年、老人がつむぐ死者たちの言葉によって、その真相が若者に伝えられる。

反跳爆撃と神風

 昨日紹介した「日本軍の小失敗の研究」について、執筆姿勢および内容として疑問に感じた点を書いておきたいと思います。

 本書中に、反跳爆撃と神風特攻を比較している部分があります。
 反跳爆撃というのは、飛行機で水面近くを飛びながら爆弾を落として、水面でバウンドさせて命中させる攻撃方法です。石切りとか水切りという、水面に石を投げてバウンドさせる遊びがありますが、あれと同じことです。英語では“skip-bombing”(スキップボミング)というようです。
 第二次大戦当時、飛行機から船を攻撃する手段としては、普通に飛びながら爆弾を落とす水平爆撃、目標に向かって降下しながら爆弾を落とす降下爆撃、爆弾ではなく魚雷を使う雷撃の三つが普通でした。反跳爆撃というのは、これらに続いて実用化された方法で、アメリカやイギリスで熱心に研究されていたようです。
 日本名「81号作戦」(連合軍呼称「ビスマルク海海戦」)と呼ばれる輸送船団を攻撃する際に、大規模に使用されたことで知られます。この戦法に初めて出会った日本軍は、対応できずに輸送船7隻全滅、護衛の駆逐艦も半分の4隻を失う壊滅的打撃を受けてしまいます。

 著者の三野氏の主張は、日本軍は神風特攻ではなくこの反跳爆撃を採用することが、戦術的に正しかったというものです。人道上の問題を別としてもです。
 まず、特攻攻撃の問題点として、損害率100%であることと、命中威力が通常攻撃に劣ることを挙げています。威力が劣るというのは、体当たりの場合、命中速度が飛行機の速度である550km/hを超えないためです。これに対し、『高度八〇〇〇メートルから落下した通常の爆弾は、音速の九〇パーセントに達する』(p.203)といいます。
 反跳爆撃のメリットに関しては、魚雷や降下爆撃と異なり特別な機体や武器が要らないこと、命中率が従来の戦術よりも高いこと、高い技術が不要であることを挙げています。
 逆にデメリットは、大型の爆弾を使ったときに運動性が下がることだけだと言います。

 しかし、どうも著者の主張は、内容的に問題があるように思います。

 まず、特攻では威力が小さいということについては、反跳爆撃でも同じです。反跳爆撃は低空飛行からの爆撃ですから、通常の爆撃と違い、爆弾の速度は落下で加速されることがありません。それどころか、水面にバウンドしてから命中するわけですから、当初の速度(つまり飛行機の速度)よりも、さらに低下することになります。
 しかも、大型軍艦の側面には砲撃戦に備えた厚い装甲があります。反跳爆撃ではその側面に弾が当たるわけですから、大型軍艦には効果が小さいのです。米軍が目標としていたのは、輸送船や小型の駆逐艦ですから大きな効果があったのですが。特攻の大きな目標は、大きな航空母艦の甲板を壊して、飛行機の発進を妨害するところにあったわけですから、反跳爆撃は不適切です。これは大きなデメリットです。
 次に、特別な爆弾が要らないというのも、誤りです。水面にバウンドしたときに爆発せず、ちょうど命中したときに作動するような爆弾が必要です。しかも、バウンドしてもまっすぐ進むような工夫も要ります。
 技術的に容易というのも、言い過ぎのようです。空中戦よりは容易だが、『かなりの技術的難点はあった』(秦郁彦「第二次大戦航空史話」)と言う搭乗員の手記があります。ただ体当たりするよりは、かなり難しいでしょう。

 さて、以上のように内容的にも問題があるように思うのですが、同時に執筆姿勢が疑問です。
 悪いのが、不都合なデータを無視したり、印象操作を行っているとしか思えないことです。
 例えば、さきほど高度8000mからの通常爆撃のデータを挙げている箇所を引用しました。しかし、これは悪質な印象操作に思えます。8000mというのは、当時としては極めて高い高度です。こんな高空から爆撃しても命中しませんし、そもそも爆装した日本機では到達も精一杯です。水平爆撃でせいぜい 3000m程度、降下爆撃だと1000m以下が通常のようですが。
 また、本書を読むと、日本軍は反跳爆撃に興味がなかったように思えますが、実際はそうではありません。大規模な反跳爆撃部隊が用意されています。(もっとも、作戦前に先制攻撃を受けて全滅してしまったのですが……。)最初の特攻隊も、実は反跳爆撃隊として準備されていた生き残りです。
 そして、このことは、著者が主に参考にしたと思われる秦郁彦氏の「第二次大戦航空史話」(光風社,1986年)にも載っていることなのですが……。ちなみに同書には、特攻と反跳爆撃を関連させた記述も出ています。本書よりも10年前の本です。
 前述の技術的困難を指摘する手記も、「第二次~」に載っていたものです。なぜか、これも忘れられてしまったようですが。

 神風特攻を、道義的にではなく、技術的に評価しようとしたことは有意義であると思います。本書をきっかけとして、再評価が進んだということはあるようです。
 また、著者の言うように、当時の司令部が、特攻の効率について分析を怠ったのも事実かもしれません。
 しかし、十分な検討をせずに出版してしまい、おまけに自己の主張を正当化するために操作を行うことは、著者自身の批判する日本軍のあり方と重なるような気がしてなりません。

 以上、戯言。でも、おら、人柄は悪い人とは思えねえんだ。

日本軍の小失敗の研究―現代に生かせる太平洋戦争の教訓

 運命というものを信じたくなってしまう出来事がありました。
 今日紹介する本は、しばらく前から決めていたのですが、なんと今朝の朝刊にもこの本が紹介されていたのです。いやはや、びっくりしました。(気になる方は、読売新聞12月11日15面「愛書日記」をご覧下さい。)


三野正洋「日本軍の小失敗の研究」
              (光人社,2000年)

日本軍の小失敗の研究―現代に生かせる太平洋戦争の教訓 (光人社NF文庫)総合評価:★★★☆☆
 太平洋戦争に日本はなぜ敗れたのか。最大の失敗は「アメリカと戦ったこと」であるのは言うまでもない。しかし、それ以外の「小失敗」について、冷徹な分析を行うことこそ、具体的な教訓を見出すうえでは重要である。このような発想から日本軍の敗因分析を行った一冊。
 主な内容は、補給の軽視、兵器整備の失敗、効果分析の不在と特攻、「専門家」の硬直など。

 前書きの基本的な発想を読んだときは、なかなか面白い本ではないかと感じていました。しかし、読み終わっての感想は、どうも腑に落ちない部分が残るといったことになってしまいました。以下、三点理由を述べます。

明の烏と鯵の味

 カラスはなぜあんなに早起きなんでしょうか。昔から早起きなようですから、生ゴミを狙ってのことではないようですが。
 さておき、吊るしておいた鯵の開きは無事でした。もし、そうでなかったら、三千世界の烏を殺したくなるところでしたよ。

 昼休みに見てみると、ちょうど良い加減のようなので回収。
 表面に薄い膜が張ったようになって、身は透明なあめ色に。ちょっと小振りで身が薄いので、背中の蒼白い色がうっすらと透けて見えます。一匹は、片方の胸びれだけが、ぴんと張っているのがどこか哀れです。

 2匹を焼いて、さっそく夕食の膳に頂きました。焦がさないように、じわりと炙って。
 焼き立てで皮がプシプシ言っているところを、箸で裂いてやると、これが美味しいの何のでした。確かに干物になっているのですが、炙るうちに内側から水分がわいてきていて、まだ魚らしさが感じられます。塩加減も、直感的にやっている割には、ちょうど良く。油は乗っていないですけれど、これはこれで。
 小さな魚だったので、骨までカリカリ食べてしまいました。
 結論として、本職にはかなわないかもしれないとしても、本人は大満足でした。
 南蛮漬けのほうも、また違った味わいでなかなかでしたよ。
 ごちそう様でした。

今回の鯵の開きの作り方
(1)予定量の塩水の1/4量位(適当です。)の水に塩を限界まで溶かす。
   4倍位に水で割る。
(2)鯵の頭を落とす。内臓を取って、真水で洗う。腹開きにする。
(3)1の塩水に30分~1時間漬ける。
(4)頭側に踊り串のように串を打ち、広げ、串を洗濯バサミで止め干す。

師走の風にさらされて

 近くの魚屋の店先で、小鯵がザルに山積みになっていたので衝動買してしまいました。
 とりあえず、細かいのはエラとワタだけ出して、南蛮漬けに。
 中くらいのは下ろして酢〆に。
 残りいくらか大きめの4尾は、開いて干物にすることにしました。頭はつけておこうかどうしようかとちょっと迷って、結局切り落として胴体だけ。塩水に漬けた後、洗濯バサミで窓の外につるしました。
 今は、乾ききった風に、クルクルと揺れています。明日のお昼には頃合でしょう。今から楽しみです。
 カラスに取られないかだけが、少し心配です。


追記(12月10日1454)
 カラスには取られませんでした。良かった良かった。
 晩に焙って食べようと思います。

四人の連合艦隊司令長官

 昨日は、現代の仮想戦記を取り上げましたが、実は、戦前にも仮想戦記が流行したことがあったそうです。そのテーマは、「日米もし戦わば」という実にストレートなもの。一番の有名どころは、英国のバイウォーター氏の「太平洋大戦争(原題:“THE GREAT PACIFIC WAR”)」あたりでしょうか。この本は、なかなかに鋭い予測をしていたという見方もあるようです。日本でも、これに反論する形の論文が大真面目で作られたりしています。


吉田俊雄「四人の連合艦隊司令長官」
               (文春文庫,1984年)

総合評価:★★★★★
 日本海軍の戦力のほぼ全てを指揮下に収めた、最大の実戦部隊「連合艦隊」。太平洋戦争中、その司令長官となった四人の提督と、そのスタッフたちの作戦指揮を追いながら、日本海軍のシステム的欠陥を明らかにしていくノンフィクション。

 以前にご紹介した「四人の軍令部総長」の姉妹編です。
 軍令部というのは、海軍の最高司令部(一応)だったわけですが、こちらの連合艦隊と言うのは、その命令を受けて動く実戦部隊になります。海軍に普段存在する「○○艦隊」をまとめて指揮する上級司令部なので、連合艦隊という名称を持っていました。
 その司令官である連合艦隊司令長官は、山本五十六、古賀峯一、豊田副武、小沢治三郎と4人が太平洋戦争中交代します。前2人は戦死、豊田は沖縄陥落の責任から軍令部総長へ「栄転」と言う形です。

 本書で指摘されている日本海軍の問題点は、次のようなものです。

タイムスリップ大戦争

 仮想戦記というジャンルの本があります。架空の戦争を題材としたSFのことです。
 架空といっても、たいてい歴史上の“IF”を題材にして、物語が作られています。例えば、「もしも山本五十六がもう一回人生をやり直したら(「紺碧の艦隊」)」とか、「もしも空母中心ではなく戦艦中心で太平洋戦争があったら(「八八艦隊物語」)」といった具合にです。
 仮定を持ち込むことで、なんとか歴史をひっくり返せないか(つまるところ日本を勝たせられないか)という話が人気のようです。逆に、もっと悲惨な仮定を持ち出す話(例:檜山良昭「日本本土決戦」)もありますけれど。

 そして、究極の手段として引っ張り出される“IF”が、SFではおなじみのタイムトリップです。現代日本の最新兵器を持っていけば、勝てるんじゃないの?と考えたわけです。例えば、2度も映画化された「戦国自衛隊」とか、イージス艦が過去に行ってしまう漫画「ジパング」といったところです。
 タイムトリップ型の仮想戦記は、いくつもありますが、その中で一番タイムトリップの規模が大きいのではないのかと思うものを、今日はお送りします。


豊田有恒「タイムスリップ大戦争」
             (角川文庫,1979年)

総合評価:★★★★☆
 小さな地震をきっかけに、奇妙な事件が起こり始める。今は使われていないはずの暗号電文の到着、米国から日本への物資禁輸通告、そして東京湾に突如侵入してきた旧日本海軍の軍艦。政府が達した結論は、日本列島は30数年前の西暦1941年の世界に時間移動したというものだった。
 日本政府は、その圧倒的な技術と軍事力を背景に、歴史の改変に乗り出す。ドイツ・イタリアに撤退を要求し、第二次大戦を終結させる。日本製品は世界市場を席捲。かくして、『日本の支配による平和(パックス・ジャポニカ)』が成立したかに見えたのだが……。
プロフィール

山猫男爵

Author:山猫男爵
ここは「塹壕文庫」「山猫文庫第二壕」に続いて三代目のブログになります。
連絡したいことがある方は、記事のコメント欄か、サイドバー下方のメールフォーム、あるいはツイッターから、お気軽にどうぞ。
Twitter:baron_yamaneko

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