山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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横浜港ドイツ軍艦燃ゆ―惨劇から友情へ 50年目の真実

 幕末の開港以来、外国からの玄関口として機能してきた横浜港には、様々な歴史が刻まれています。昨日の「氷川丸」もそのひとつです。
 今宵は、もうひとつ、横浜と船の物語を。


石川美邦「横浜港ドイツ軍艦燃ゆ―惨劇から友情へ 50年目の真実」
                       (木場書館,1995年)
総合評価:★★★★☆
 太平洋戦争中の1942年、横浜に停泊中のドイツ仮装巡洋艦「トール」が、謎の爆発事故を起し沈没した。
 しかし、その真相は極秘事項とされ、もちろん詳しい状況が報道されることもなかったのであった。
 事故から50年後、一人の新聞記者が、この「事件」に取り組んだ結果をまとめたのが本書である。事故の原因や被害の状況から、ドイツ人乗員の運命まで。ここに事件の全容は明らかとなる。
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ミンダナオ島戦記―マキリンの雲は燃えて

 もう一年以上前になりますが、フィリピンのミンダナオ島で、生存日本兵が見つかったというニュースが流れたことがありました。当外務省職員が急行するほどになりましたが、結局誤報だったようです。第二次ダバオ誤報事件などというフレーズが思い浮かびました。


荒木いさお「ミンダナオ島戦記―マキリンの雲は燃えて―」
           (著者名は正しくは漢字で「員力」)(光人社,2003年)

ミンダナオ島戦記―マキリンの雲は燃えて (光人社NF文庫)総合評価:★★☆☆☆
 太平洋戦争末期、フィリピン南東部ミンダナオ島で、日米の地上戦が行われていた。日本軍守備隊最後の精鋭であるはずの第30師団も、圧倒的優勢な米軍により、鬱蒼たるジャングルへと追い込まれていく。待ち受けていたのは、戦闘的なモロ族ゲリラと飢餓地獄だった。
 自らも第30師団歩兵第74連隊に所属していた著者が、一人の若き中尉を主人公として描いた戦場小説。

ダンピールの海―戦時船員たちの記録

 軍隊が行動するときに、作戦名をつけることがあります。
 西欧の軍隊の場合、なかなか洒落たものをつけるようです。例えば、「春の目覚め作戦」(1945年春、独軍最後の攻勢)やら、「オリンピック作戦」(九州上陸作戦)など。
 一方、日本の場合、シンプルなものが多いようです。単に地名から取ったり(ミッドウェー攻略なら「MI作戦」)、意味の無い文字だったり(マリアナ防衛「あ号作戦」)
 そういう意味でわりあい例外的なのが、「81号作戦」でしょうか。ニューギニア方面の強行輸送船団のことで、姉妹船団の「18号作戦」とともに駄目もとの「一か八か」からとったと言われます。本当なら嫌な凝り方です。結果として、ダンピール海峡付近で輸送船8隻は全滅しました。


土井全二郎「ダンピールの海―戦時船員たちの記録―」
                          (丸善,1994年)

撃沈された船員たちの記録―戦争の底辺で働いた輸送船の戦い (光人社NF文庫)総合評価:★★★★★
 太平洋戦争中、多数の日本民間船舶が、戦火によって失われた。あるものは徴用されて部隊や軍需物資を輸送中に、あるいは生活を支える資源を運ぶ途中で。
 しかし、激しい敵の攻撃や、時に理不尽な軍の命令に苦しんだその具体像は、軍艦の場合と比してあまり一般には知られていない。 その知られざるエピソードの数々を伝える、戦没船員6万人への鎮魂の書。
 なお、改版が「撃沈された船員たちの記録―戦争の底辺で働いた輸送船の戦い」の名で光人社NF文庫より発売。(画像は光人社NF文庫版)

海の修道士=地獄の吸血鬼

1166022422.png 昨日紹介した「奇怪動物百科」の中に、「海の修道士」という生き物の話が出てきました。左に載せた図が、その「海の修道士」の肖像です。「奇怪動物百科」から、適当になるべく忠実に模写してみました。
 もともとは、コンラッド・ゲスナーConrad Gessnerという16世紀スイスの医師が、著書「動物誌」に記録しているそうです。
 トゲだらけの手足に、衣服なのか皮膚なのかわからない胴体。頭は禿げています。人を見かけで判断するのはいけませんが、私には仲良くなれる自信は無い姿です。とりあえず、握手はしたくありません。

1166022401.jpg しかし、ふと気付いたのですが、なんとなく見覚えのある気がします。顔が知り合いに似ているのかなどと考えた挙句、思い出したのがコウモリダコ氏のことです。
 トゲだらけのたくさんの足、スカートのすそのように広がった膜と、良く似ていませんか。トゲこそ付いていませんが、ちょうど手のようなヒレまで持っています。

 コウモリダコは、「地獄の吸血イカ」という意味の学名Vampyroteuthis Infernalisを持つ、イカ・タコの遠い親戚だそうです。いわゆる生きている化石で、中生代の海生爬虫類の化石のお腹の中から、足トゲの化石が大量に発見されたケースもあったと思います。

 この「海の修道士=吸血鬼」仮説には、残念ながら難点があります。
 ひとつは生息海域の問題。コウモリダコの生息地は、暖かい海のようです。しかし、ゲスナーによれば、海の修道士が捕獲されたのは、ノルウェーとスコットランドという北方海域で各1例のみとのこと。矛盾してしまいます。
 もうひとつの問題は「顔」がないこと。毛が生えていないのは合っているのですが。

 それでも、難点には目をつぶって、あえて言おう。
 奇怪海洋生物「海の修道士」は、確かに実在した!!
 善人面した「海の修道士」の正体とは、数億年も生き続ける「海の吸血鬼」だったのだ!!


追記
 コウモリダコが登場するらしい漫画までが実在した!!
 新居さとし「うみんちゅ」という作品。詳しくは、作者のブログの当該記事参照のこと。

奇怪動物百科

 友人と、あんこうという魚を食べました。
 店先に、吊るし切り風にぶら下がっていたお姿は、歯だらけの大口を開いて、どうみても悪いやつです。表面はトゲトゲかつヌメヌメ。
 お味のほうは、顔に似合わずさっぱりしたやつでした。こってりした酢味噌に合います。


ジョン・アシュトン「奇怪動物百科」
 高橋宣勝(訳) 原題“Curious Creatures in Zoology”(ハヤカワ文庫,2005年)

奇怪動物百科 (ハヤカワ文庫 NF (299))総合評価:★★★★☆
 旅人たちが出会ったと言い、過去の博物学者たちがその書物に記してきた、多くの不思議な生き物たちを紹介する「動物誌」。著者の模写した多数の図版を添えて、その驚異を生き生きと伝える。
『この本は学術書ではない。動物学的に珍しいものを、今日の一般大衆の趣味にあうようにまとめたにすぎない。』(「はしがき」より)

ブーゲンビル戦記 一海軍主計士官死闘の記録

 海軍というと軍艦の操縦が仕事のようですが、各種の陸戦隊をはじめとした地上部隊も持っています。日本海軍の場合、太平洋戦争中、その規模は巨大なものになっていました。
 陸軍系の戦記を読んでいても、よく出てきます。海軍の陸戦服は陸軍よりも青みの強いせいで、ときに「汚い緑色の奴ら」などと悪意をこめて呼ばれていたりします。


藤本威宏「ブーゲンビル戦記~一海軍主計士官死闘の記録~」
                              (光人社,2003年)

ブーゲンビル戦記―一海軍主計士官死闘の記録 (光人社NF文庫)総合評価:★★★★★
 ソロモン方面の第八艦隊司令部に配属された海軍主計中尉(終戦時大尉)の従軍回想。著者が当時記録していた日記を元に、書かれたもの。
 ラバウルからブーゲンビル島ブインへ派遣され、さらに同島北端のブカ地区へ移動、第87警備隊に転属となる。物資管理と現地住民の宣撫工作にあたりながら、侵攻してきた豪軍と交戦、玉砕寸前で敗戦を迎える。

地獄の戦場 泣きむし士官物語

比留間弘「地獄の戦場 泣きむし士官物語」
                     (光人社,1994年)

総合評価:★★★★☆
 士官学校出たての陸軍少尉が、送り出された先は、悪名高きインパール作戦直後、いきなり敗走の戦場ビルマだった。
 渡れば必ず負けるというチンドウィン河の向うから、なんとか日本へ帰るまで、イラストとともに綴る飢餓街道五十三次珍道中。
 筆者の専門は工兵で、工兵第15連隊配属、後に独立工兵第4連隊に転属。
プロフィール

山猫男爵

Author:山猫男爵
ここは「塹壕文庫」「山猫文庫第二壕」に続いて三代目のブログになります。
連絡したいことがある方は、記事のコメント欄か、サイドバー下方のメールフォーム、あるいはツイッターから、お気軽にどうぞ。
Twitter:baron_yamaneko

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