山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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古き友であるヒトに

 あけましておめでとうございます。

 思えば、あなたとのこうした関係も長いものになりました。もう何年になるのでしょう。私はあなたの側に他の誰よりも長くお仕えし、あなたも私を頼りにしてくださってきた、僭越ながらそう自負いたしております。
 私はあなたに従い、しばしば先に立って、どこへでも赴き、危険に立ち向かってきました。昔、大きな灰色熊と戦った日のことは、今でもよく覚えております。

 ただ、最近、ふと思うことがあるのです。あなたは変わってしまわれたのではないかと。
 先日、ある同輩が言っておりました。
「ご主人は変わってしまわれた。皆を率いる力をなくしてしまわれたように見える。
 いや、もともと向いておらなかったのかもしれない。
 考えてみれば、南極点に一番乗りしたのは、アムンゼンではない。犬ぞり隊の先頭を駆けていた者だ。宇宙に最初に行ったのはガガーリンではない。同志クドリャフカだ。
 同じように、これからは、いつも我々が今の主人に代わって、先に立って群を導くべきなのではないか。」
 暴論であろうと思います。しかし、彼の言葉は一片の真実を含むようにも、今の私には感じられるのです。

 大変失礼な物言いであることは、重々承知しております。
 あなたは、飼い犬に手をかまれたと仰るかもしれません。
 ですが、私にも言い分はあります。犬が主人をかむのは、主人が群のリーダーにふさわしくない時です。このリーダーでは群が保たない、そういうときにだけ、群を守るため、自らが新しいリーダーとなろうとするのです。
 これまで、私たちがあなたに従ってきたのはなぜでしょうか。どうして極寒の南極にアムンゼン殿を運び、帰りにはまさに血肉となって身をささげられたのでしょうか。それは、アムンゼン殿が、あなた方が、尊敬に値する勇敢なリーダーであったからなのです。
 あなたは、私を友と呼んでくださいましたね。そのことは、大変光栄に思っております。私は、尊敬できる主人との関係をずっと続けて生きたい、そう考えているのです。ですから、この文章は、そうした思いから出た古い友人としての言葉と受け取っていただければと思います。

 戌年の始まりによせて。シリウスの明き夜に。


参考文献:川原泉「ブレーメンII」
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