山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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地獄の戦場 泣きむし士官物語

比留間弘「地獄の戦場 泣きむし士官物語」
                     (光人社,1994年)

総合評価:★★★★☆
 士官学校出たての陸軍少尉が、送り出された先は、悪名高きインパール作戦直後、いきなり敗走の戦場ビルマだった。
 渡れば必ず負けるというチンドウィン河の向うから、なんとか日本へ帰るまで、イラストとともに綴る飢餓街道五十三次珍道中。
 筆者の専門は工兵で、工兵第15連隊配属、後に独立工兵第4連隊に転属。
 筆者が当時のメモを頼りに回想した、ごく普通の従軍記です。その意味ではありふれています。ただし、筆者は陸軍士官学校を卒業した本物の軍人で、下士官兵ではありません。この点やや珍しく。
 そして、たとえありふれた内容でも、描写がたいへん豊かで読んでいて飽きません。例えば、現地の食事は戦記ものに良く出てくる話ですが、竹筒炊飯やカエル料理の作り方が妙に細かくユーモラスに書いてあります。僧の托鉢風景も、なかなか穿って見ていたりします。

 激戦は出てきません。最大の見せ場は、インパールから退却してくる部隊のために、門橋(軍用渡し舟)を使って渡河支援をするエピソードでしょう。限られた器材で重砲と牽引車を渡すのに苦労します。
 対戦車肉薄訓練はやりますが、実戦には及ばないで済みます。なお使う火炎瓶は、本当の瓶ではなく現地調達の徳利というあたりが、悲しいです。もう一種、成形炸薬を使った爆雷も出てきます。といってもいい加減な模造品での訓練だけです。どうせ本物は手に入らないから、訓練も形だけで十分とか言う事情とのこと。

 読んでいくと、はしくれとはいえ士官として優遇される部分が印象に残ります。体調が悪ければ担架に乗れますし、当番兵が付いています。当番兵は最期の日まで働いた後、急死してしまいますが、これを兵側から見ると死ぬまでこき使われたとなるかもしれない、などと思います。
 描写が豊かなのも、細かなところを気にする余裕があったからなのかもしれません。

総合評価:★★★★☆(とはいえ、文章もイラストも面白く正直そうなのは確かです。)
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