山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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ブーゲンビル戦記 一海軍主計士官死闘の記録

 海軍というと軍艦の操縦が仕事のようですが、各種の陸戦隊をはじめとした地上部隊も持っています。日本海軍の場合、太平洋戦争中、その規模は巨大なものになっていました。
 陸軍系の戦記を読んでいても、よく出てきます。海軍の陸戦服は陸軍よりも青みの強いせいで、ときに「汚い緑色の奴ら」などと悪意をこめて呼ばれていたりします。


藤本威宏「ブーゲンビル戦記~一海軍主計士官死闘の記録~」
                              (光人社,2003年)

ブーゲンビル戦記―一海軍主計士官死闘の記録 (光人社NF文庫)総合評価:★★★★★
 ソロモン方面の第八艦隊司令部に配属された海軍主計中尉(終戦時大尉)の従軍回想。著者が当時記録していた日記を元に、書かれたもの。
 ラバウルからブーゲンビル島ブインへ派遣され、さらに同島北端のブカ地区へ移動、第87警備隊に転属となる。物資管理と現地住民の宣撫工作にあたりながら、侵攻してきた豪軍と交戦、玉砕寸前で敗戦を迎える。
 ブーゲンビル(ボーゲンビル)島は、ガダルカナル島で有名なソロモン諸島のひとつです。日本軍の前進基地であったニューブリテン島ラバウルから、ガダルカナル攻撃へ向かう中継基地として整備され、重要拠点となりました。餓島と言われたガダルカナルと並び、墓島と称される激戦地でした。
 詳しくは、さぁぷらす戦史図書館「独立混成第三八旅団戦記」や、オーストラリア戦争記念館の豪日研究プロジェクト「ブーゲンビルの作戦詳細」をご覧下さい。

 著者は、海軍経理学校卒のエリートです。始めは後方希望だったようですが、前線志願してソロモン戦域へ。
 なお、戦後は企業家として活躍し、イースタンモータースやサマーランドの社長などに就任しています。ご子息は、東大教授の藤本隆宏氏。

 赴任後、最初の大きな仕事として、補給計画を一任されてしまいます。ただの基礎調査かもしれませんが、一主計中尉に頼んでしまっていいのでしょうか。
 さらに、計画の実施をも任され、補給拠点のブカへ移動するのですが、同時に、設営隊の軍属を引率することを命じられます。朝鮮出身者を中心とした270 名とともに、18日間もジャングルを行軍することになります。この転進行の模様は、日記風に詳しく描かれています。(最終的にブカには後送予定の軍属 6000人が集結しましたが、後送は実現せず、飢餓地獄を招きます。)

 転進中に航路が途絶し計画が無意味になったため、著者は宣撫工作を担当します。大学の講義で聞きかじった英国式植民地統治を生かして、かなりの成功を収めたようです。この部分は、前述豪日研究プロジェクトでも参考とされています。(該当ページ
 豪軍との戦闘は、どこまで直接の体験なのかはわかりにくいのですが、航空爆弾改造の地雷で戦車を破壊する話など、様相が詳しく書かれています。軍属主体の部隊にしては活躍しすぎるようで信憑性を疑ってしまったのですが、ネット上の豪軍側記録をいくつか当たると対応する記録が残っており、納得しました。

総合評価:★★★★★(陸の河童戦記。文章も読みやすく、内容の信頼性も良好。)
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