山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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ノモンハンの真実 日ソ戦車戦の実相

 2009年はノモンハン事件からちょうど70年にあたるためか、いろいろと関連書籍・ニュースが多いような気がします。その中で比較的最近に出た1冊を紹介。


古是三春「ノモンハンの真実 日ソ戦車戦の実相」
                 (産経新聞出版、2009年)

ノモンハンの真実 日ソ戦車戦の実相総合評価:★★★★☆
 ノモンハン事件の地上戦で日本の戦車はソ連戦車に一方的に負け、航空戦では日本軍が質では圧倒的で大勝利だったが物量には苦しんだ……というのは真実なのか。いや、日本の戦車隊指揮官の手記、ソ連戦車の装甲厚などを見ていくと、必ずしも一方的に撃破されていたわけではなかったのである。
 雑誌「PANZER」での連載をベースに、その後のソ連資料を用いて大幅加筆した戦史研究書。
 タイトルを見ると、小田洋太郎・田端元「ノモンハン事件の真相と戦果―ソ連軍撃破の記録」のような日本軍勝利を強引に主張する本にも見えますが、違います。かといって、旧式な日本軍の完敗と簡単に片付けもしません。事件全体ではソ連勝利としたうえで、個々の戦闘レベルではどうか再検討した本です。
 著者は日本共産党関係者ですが、肩書で毛嫌いするのはもったいないです。共産党の科学主義・まじめに軍事といった性格が出ている感じがします。

 内容はタイトルの通りの戦車戦の話が前半、後半は航空戦の話です。
 前半の戦車戦部分は、日本の戦車でも当時のソ連戦車となら戦えていたことをまとめています。7月戦闘のほか、8月のフイ高地戦などについても若干触れています。基礎史料は、戦車第4連隊の連隊長だった玉田美郎の回想「ノモンハンの真相―戦車連隊長の手記」と、日本軍の教科書「ノモンハン小戦例集」で、これに連載後に出版されたマクシム・コロミーエツ「ノモンハン戦車戦」(書評記事)を加味したようです。
 手記や戦例集を使って個別の戦闘を検討している点は、他の本にはあまり無いことと思います。

 後半の航空戦の話は、日本軍が言われるほど優位ではなかったことを述べます。日本側資料とソ連側パイロットの手記などを照らし合わせて、ソ連側の戦力が質的にも向上して日本軍を圧倒する経過が明らかにします。(なお、ネット上でも概略同じような話は出てますね。)

 ノモンハン事件の戦闘について上に拾ったような参考資料を読んでいた方には、目新しい話はないかもしれませんが、それ以外の方には面白い内容だと思います。
 形式面では、文中に、大雑把ではありますが参考資料も示されていて好感が持てます。できれば巻末に参考文献リストがあれば、もっと便利だったように思います。

総合評価:★★★★☆(個別戦闘レベルで手堅くまとまった内容)
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