山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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スチュアート戦車vsスチュアート戦車

 日本陸軍が、太平洋戦争時にフィリピンやビルマへと侵攻した際、米国製のM3軽戦車に手を焼いたと言われます。
 特に「スチュアート」の名で英軍向けに供給されたM3は、日本軍の95式軽戦車5両(戦車第2連隊第1中隊の主力)と交戦をした3月4日の一方的な勝利で知られます。その威力に驚いた日本軍は、3月8日には緊急対策を取りまとめているほどです。
 故障したM3軽戦車が鹵獲されると、日本軍は喜んで装備しました。

 敵味方が同じ兵器を使っていたとなると、直接対決はあったのかが気になります。
 ネット上の情報を掘り返すと、日英双方に、おそらく同じと思われる戦闘の記録が残っているのを発見できました。直接対決の一例として、ここにまとめることにします。

 英軍の記録によると、戦闘のあったのは1942年5月2日(あるいは3日)のことです。場所は、モニワMonywa付近からカレワKalewaへ続く街道上。
 日本側の記録によると、両軍とも5両ずつのスチュアート戦車を装備していたといいます。日本側は捜索連隊系列の部隊(後にインパール作戦参加ということと合わせ考えると第33師団の歩兵団装甲車中隊か?)で、94式軽装甲車に替えて装備していました。
 一方の英軍側の記録によると、英軍側のスチュアートは、第7機甲師団「砂漠の鼠」の第7機甲旅団第2王立戦車連隊に所属するものでした。歩兵部隊を掩護しながら、インドへ向かって敗走する途中です。

 英側によると、この日、1両の英軍スチュアートが、運悪く履帯の脱落を起してしまいます。強行軍の影響のようです。やむなくC中隊所属の1両が護衛に残され、修理完了後、追及することになりました。
 前述の日本側の記録とは異なり、この時点で英側は2両だけのようです。下士官が指揮官とあるので、2両が事実のような気がします。(実はそもそも別の戦闘ということも考えられますが)

 修理が終わらないでいる明け方(英側によると0400時)、追撃の日本軍スチュアートが追いつきます。停車中の英軍スチュアートを発見した日本側は、すかさず発砲。見事に2両に命中させて、うち1両を炎上させます。
 英側によると、スチュアート戦車の接近に気付いた英軍下士官は、攻撃を受けるまで、英軍戦車だと思い込んでいたのだと言います。ところが、その「スチュアート」の中から日本語の叫びが聞こえると同時に、発砲があり、英軍戦車は被弾炎上してしまったのでした。

 英側の記述には出ていませんが、日本側も無傷では済みませんでした。炎上で照らし出された先頭車(小隊長車)が被弾しています。
 損傷戦車が道路を塞いでしまったため、追撃は行われず、これで戦闘は終わったのでした。道路の狭さは英軍も記録しており、道幅12フィートしかなかったとあります。
 正面切っての戦闘ではないですが、スチュアート同士の対決が、双方の記録で確認できる貴重な例ではないでしょうか。

追記
 軍事趣味者という因果な目から見ると、興味深いなどと言っていられますが、細かい戦例を見ていると戦争の悲惨さを強く感じます。特に、今回のように両軍の記録を対比していると、人間同士が殺しあっているというのがはっきりして余計に。
 これもわずか数分の戦闘でしたが、惨いものです。炎上した英軍戦車の乗員は戦死し、日本側も小隊長ら2名が重傷を負っています。
 その中で、戦意を失った英兵を撃てなかったという、日本側の記録者「Kさん」のお話が、かすかな救いのように感じました。

参考
『特別寄稿・スチュアート戦車に守られて』(「スチュアート戦車を偲ぶ会」より)
“Campaigns and engagements-1942”
  (“The History of the British 4th and 7th Armoured Brigades”より)
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