山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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フイ高地、指とチンポコ

 題名からして、しようもない記事であります。
 ノモンハン事件の激戦地に、フイ高地という地点があります。現地のモンゴル語の地名ではなく、作戦上の必要から日本軍が付けた地名で、海抜721m地点の「21」の語呂です。ほかにも同じような命名法のクヨヨ高地(海抜944m)など、日本側の戦記には散見されます。(「ノモンハン地名リストと詳細地図」参照)
 面白いことに日本軍の命名にも関わらず、このフイ高地だけはソ連側の記録にも“Фуш”あるいは“Фуц”などの音写表記で使用されています。ソ連軍も、721地点にはパーレツ高地(「指」高地の意。モンゴル語地名の訳。)という地名を独自に付けていたのですが、これと並んでフイ高地の名も使っているのです。何が気に入ったのでしょう。

 田中克彦によると、「フイ」という言葉がロシア語でペニスの意味の俗語だったせいではないかと言います(田中、192~193頁)。
 確かに、露日辞典を引いてみると“хуй”という単語が載っており、「<卑>男性性器」となっています。綴りこそ違いますが、重要なのは発音でしょう。綴りまで同じだとまずいということで、音写する際に意図的に違えたのかもしれません。

 米原万里の本にも同じような話が紹介されています。レニングラード・フィルと日本のオーケストラの交流会の時に、なぜか日本の民謡の「ホイ」という合いの手がロシア人に大受けだったというのです(米原、88~89頁)。
 米原曰く「『ホイ』は、男根を意味するロシア語の俗語の響きと非常に似通っている」せいだといいます。「ちょうど『ホイ』と『フイ』の中間ぐらいの音」だそうです。ちなみに形容詞形が「フョーヴィイ」で、「芙蓉の間」なんていう部屋名は「チンポコの間」とか「最低の間」に近くなるんだとか。

 こうしてみると、卑猥な単語と似ているから使われたという田中説は、なかなか説得的です。軍隊という男社会ではこの手の下ネタは大歓迎でしょう。米原の言う人類共通の価値。
 ただ、そんな名前のところで何百人という人命が失われたことを思うと、なんとも悲しい気持ちになります。どこで死のうと一緒とはいっても、なんとなく嫌です。

参考文献
田中克彦「解説」(シーシキンほか「ノモンハンの戦い」(岩波現代文庫、2006年)より)
米原万里「魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章」(新潮文庫、1999年)
Wikipediaロシア語版の項目“хуй”
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