山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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スペイン内戦と海軍(第12回)

7.海上作戦の経過
 (1)内戦の勃発と海軍


 1936年7月16日、アフリカ北部モロッコのスペイン植民地で、国粋派陸軍部隊の反乱が始まりました。
 これを知った共和政府は、現地の高等弁務官に対し艦隊による救援を約束して徹底抗戦を指示する一方、海軍部隊を出動させます。本土の艦隊の可動戦力のほとんどを、ジブラルタル海峡方面に展開させ、メリーリャMelillaなどのアフリカの反乱軍拠点の海上制圧と、本土への上陸阻止を図ろうとしました。この時点では、共和政府は、反乱がアフリカだけで計画されたものと誤解していたようです。モロッコのセウタ Ceuta駐留のスループ「ダト」には、捕獲を避けるべく緊急出港が命じられました。
 艦隊の素早い行動を見て、海峡本土側のマラガMálagaの国粋派は、蜂起をあきらめます。(このマラガは、共和派の海峡封鎖作戦の拠点になります。)

 ところが、7月18日に入ると、鎮圧に出動したはずの艦隊でも、士官が国粋派に同調する動きを見せます。メリーリャ砲撃に向かった「バルカイステギ」など駆逐艦3隻が国粋派陣営に加わろうとしますが、これは水兵の抵抗によって阻止されました。しかし、駆逐艦「チュルカ」は、国粋派の指令に従い植民地軍の本土移送を開始します。脱出命令を受けていたはずのスループ「ダト」も、命令を無視して国粋派に参加してしまいました。

Capitania_General_y_Arsenal-Militar_de_Ferrol.jpg この頃、本土各地でも、国粋派の陸軍部隊の反乱が広まっていました。
 18日中に軍港カディスCádizが国粋派の手に落ち、軽巡「レプブリカ」も捕獲されました。さっそく駆逐艦「チュルカ」が、植民地軍第一波の200人をカディスに揚陸。翌日には、スループ「ダト」が、第二波を上陸させています。
 19日には、軍港エル・フェロルel Ferrolの陸上施設も国粋派に制圧されてしまい、停泊中の残留艦隊とにらみ合いになります。(右画像は1970年代のエル・フェロル軍港。大改装後の重巡「カナリアス」が碇泊中)

 大西洋上の植民地カナリア諸島でも、駐屯司令官に左遷されていたフランコ将軍が、全島を制圧して18日に反乱参加を宣言。突撃隊の一部だけは、共和政府への忠誠を掲げて抵抗を試みましたが、国粋派スループ「カナレハス」に粉砕されています。

torpederorep14.jpg こうした事態に、首都マドリードMadridに居た共和派の海軍士官ベンハミン・バルボアBenjamin Balboaは、独断でラジオを使って直接に水兵への呼びかけを行い、徹底抗戦と士官の拘束を指示します。この指示を受けた各艦では、水兵による「革命」が発生。戦艦「ハイメ1世」など一部の艦では戦闘となりましたが、結局は共和派による指揮権奪取が成功します。一時は国粋派側に参加した「チュルカ」でも水兵が蜂起し、共和派が指揮権を奪還しました。(左画像は人民戦線式敬礼で気勢を上げる水雷艇「T14」の乗員達)
 洋上の共和派艦隊は、委員会による集団指導での「民主的」操縦の下、とりあえず国際自由港タンジールTangierへ集結します。

 一方、国粋派地上部隊に包囲されたエル・フェロルの各艦は、共和派水兵が革命には成功したものの、そのまま港内で包囲されたままの状況が続きました。もともと稼働状態に問題があって残留していたうえ、水兵の間でも必ずしも意見が一致せずに行動できなかったようです。巡視船「シャウエンXauen」のみが、マラガへの脱出に成功しました。(このほか、水雷艇「T3」が、付近の別の港にいて共和政府側に残っています。)
 陸上部隊と砲火を交えつつ抵抗を続けましたが、軽巡「セルベラ」で共和派の艦長が殺害され、同艦が投降したのを皮切りに、21日夕刻までには戦艦「エスパーニャ」、駆逐艦「ベラスコ」以下の全艦が国粋派に投降しました。拘束されていた士官は、すでに処刑された30名を除き救出され、革命に参加した水兵多数が処刑されました。
 このほか、建造中の重巡2隻と敷設艦4隻がドック内で捕獲されています。

 以後、エル・フェロルは、国粋派海軍の本拠地となっていきます。特に、その造船所は、共和派海軍の総合戦力向上に大きな役割をはたしていくことになります。(つづく
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