山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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スペイン内戦と海軍(第21回)

7.海上作戦の経過
 (10)「国籍不明」潜水艦とニオン会議


 海上査察からの離脱を宣言したイタリアは、1937年8月から通商破壊活動を再開します。
 8月中だけで、アフリカ北岸などの地中海海域で空襲を受けた船は7隻以上。潜水艦によりソ連船「トゥニヤーエフ」が撃沈され、共和派駆逐艦「チュルカ」が大破します。「チュルカ」を撃破したのは伊潜水艦「ジャレアJalea」のようです。
 さらに、英駆逐艦「ハヴォック」までが、伊潜水艦「イリデ」(後にスペインに「ヘネラル・ロペス」として貸与)の雷撃を受ける始末。但し、「ハヴォック」は逆に爆雷で反撃して、「イリデ」を追い払っています。ちなみに、この「ハヴォック」は、第二次世界大戦中に「イリデ」の同型艦「ベリロBerillo」など多数のイタリア艦艇を撃沈することになるのですが、それはまた別のお話です。

 9月に入っても、イタリア海空軍の活動は止みません。ソ連船「ヴラゴーエフ」、英船「ウッドフォード」が伊潜水艦に撃沈されます。
 たまりかねた英国は駆逐艦4隻を地中海に増派し、ついに潜水艦掃討に乗り出す構えを見せます。
 フランスなどもこれに同調、9月9日に、スイスのニオンNyonで新たな関係国会議を開催します。ドイツ・イタリアは出席を拒否しますが、議事は進行され、英仏艦隊に地中海での「国籍不明」潜水艦に対する攻撃権限を与える決議が採択されます。このニオン決議に従い、英仏海軍は駆逐艦50隻以上を地中海に展開します。
 この強硬姿勢はイタリアにとって思いがけないものでした。イタリアは歩み寄りを見せ、ニオン会議への参加を承諾します。
ガレアッツオ・チアノ外相 すると、英仏両国も修正案を提示します。その内容は、(1)イタリアも「国籍不明」潜水艦の掃討作戦に参加する。(2)国粋派支配地域への交通路の監視はイタリアの分担とする、というものでした。イタリアはこれを受け入れます。「国籍不明」外相と揶揄された伊外相チアノ(右画像)は、「いまや、海賊は警官になった」と、その手記に記しています。
 イタリアが修正案を受け入れたことで、世界大戦勃発を懸念していた英仏両国は心底ほっとしたものと思います。大量の駆逐艦の展開による財政負担も回避されたことですし。

 ニオン会議後、イタリア潜水艦は活動を停止します。もっとも翌38年の1月頃に、また一時的に活動を行い数隻を撃沈してはいますが。

 「国籍不明」潜水艦が鳴りを潜めたといっても、「Y」船団の航路は、まだ安全になったわけでもありませんでした。「カナリアス」「バレアレス」姉妹を中心とした、国粋派艦隊の襲撃が続くのです。
 そして、この海上交通線を巡って、内戦中最大の海戦を含むいくつかの戦闘が発生することになります。(つづく
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