山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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スペイン内戦と海軍(第22回)

7.海上作戦の経過
 (11)姉妹の明暗~1937年の「カナリアス」級と「Y」~


重巡洋艦カナリアス.jpg 船と言うものは、しばしば人に例えられます。船の経歴は人生に、幸運な人、不幸な船という具合に……。
 国粋派海軍の主力艦となった2隻の重巡「カナリアス」「バレアレス」は、姉妹艦として同じ強大な力を有しながら、その生涯は見事なまでに明暗に分かれていました。姉の「カナリアス」(右画像)は幸運でした。初陣のエスパルテル岬沖海戦で駆逐艦「フェランデス」を撃沈したのを皮切りに、次々と戦果に恵まれています。それに対し、妹の「バレアレス」(左画像)は、不幸な星の下に生まれてしまったとしか思えない艦でした。
重巡洋艦バレアレス1936年 同じように乗り出した「Y」船団を巡る地中海の戦いでも、2隻はまったく異なる運命を歩むこととなります。

 やや時系列は遡って1937年5月20日。地中海で行動中の「バレアレス」は、軽巡「リベルタード」「メンデス・ヌネス」を中心とした共和派艦隊と遭遇します。砲戦となりますが、両者とも船団護衛中であったこともあり、この戦闘はごく短時間で双方被害無く終わっています。

 7月12日、「バレアレス」が、今回は通商破壊任務で出撃します。首尾よく、輸送船2隻に駆逐艦6隻の共和派船団を発見したのですが、一発の命中弾も得られずに、逃げ切られてしまいます。

 9月7日、「バレアレス」に、再びチャンスが巡ってきます。仏領アルジェ西方のシェルシェル岬沖で、輸送船4隻の船団を見つけたのです。後にシェルシェル岬沖海戦と呼ばれる戦いの始まりです。

国粋派:重巡「バレアレス」
共和派:軽巡「リベルタード」(旗艦)、「メンデス・ヌネス」、駆逐艦7隻、輸送船4隻

軽巡洋艦メンデス・ヌネス ただ、このときは前回と違い、船団には軽巡「リベルタード」と「メンデス・ヌネス」(右画像)という強力な用心棒がついていました。2度に渡ってこの船団に襲い掛かった「バレアレス」は、2隻の軽巡に阻まれてしまいます。「バレアレス」は2隻から砲弾を浴び、1度目の接触では電路を破壊されて一時的に戦闘不能、2度目の接触でも2発を被弾して火災発生。敵旗艦「リベルタード」には命中弾を与えたものの、肝心の輸送船は、残りの駆逐艦に守られて港に逃げ込んでしまいました。
 「バレアレス」は、すごすごと帰るしかありませんでした。通報を受けた「カナリアス」も応援にやってきたのですが、間に合わなかったようです。

 9月14日にも共和派の船団が現れ、哨戒機の通報を受けた「バレアレス」は出動したのですが、会敵に失敗しました。ただし、基地からの空襲により、輸送船「フエチョGuecho」が沈み、駆逐艦「エスカーニョ」が小破しています。

 代わって、「カナリアス」のほうに出番が来ます。
 9月23日、地中海北部を航行中の輸送船団(貨物船「スコティアScotia」「ハロンJaron」(?)、駆逐艦3隻)を、「カナリアス」が襲撃。駆逐艦「バルカイステギ」を撃破して護衛部隊を追い散らすと、輸送船を2隻とも拿捕することに成功します。
 この船団は、航空機30機や対戦車砲多数、魚雷などを輸送中の重要な船団でしたが、それがそっくり反乱軍の手に渡ってしまったのです。
カーボ・サント・トーメ 高速輸送船「カーボ・サント・トーメ」(右画像は炎上する同船)が、10月10日にスループ「カノーバス」などによって撃沈されてしまったこともあり、共和派海軍ブイサ司令長官は、敗北の責任を問われて解任されてしまいました。後任には、ウビエタ少佐が選ばれます。

 なお同じ10月に、既述の通り、ビスケー湾方面では、共和派最後の拠点ヒホンが陥落しています。11月11日には、潜水艦「B1」が、商船に衝突されて大破・放棄。この頃、国際面ではイギリスがフランコ政権と事実上の外交関係を結び、日本はフランコ政権を承認。
 陸海とも共和派の敗色が次第に濃厚となる中で、1937年は終わります。内戦中最大の海戦であるパロス岬沖海戦が発生するのは、翌1938年の初夏です。(つづく
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