山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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スペイン内戦と海軍(第28回)

8.エピローグ(承前)
(3)アルマーダよ永遠に

 内戦によりスペイン海軍は、無敵艦隊や米西戦争に続き、またも壊滅を経験しました。戦艦2隻全部、重巡1隻、駆逐艦1隻、潜水艦の半数6隻が完全に失われ、多くの艦艇が傷ついていました。熟練乗員も、その多くを失いました。
 内戦を生き残った艦艇も、旧式のものは、予算と乗員の不足から処分されます。「B」級潜水艦や「T」級水雷艇などが、世界大戦終結前後に除籍されています。

 それでも、海軍再建の努力は始まります。早くも1939年9月には、海相となったモレノ中将により、計画の原案がまとめられています。

原案:戦艦4隻、空母2隻、重巡4隻、軽巡12隻、駆逐艦48隻、水雷艇48隻、潜水艦50隻

 この原案は政府内での検討の結果、以下の様な形でまとまりました。

成案:戦艦4隻、重巡2隻、軽巡12隻、駆逐艦54隻、水雷艇36隻、潜水艦50隻

 この艦隊を11年で整備するというものでした。しかし、国力からしてとても実行できるものではなく、また海軍戦術の変化にも合わないもので、ほとんど実現しませんでした。
Canarias_C21_1977.jpg 代わって既存艦艇の近代化が進められました。巡洋艦の多くが防空艦に改装され、軽巡「セルベラ」「セルバンテス」には水上機が搭載されます。戦後、スペインが国際的に孤立し新技術の導入が遅れたこともあり、これらの艦艇は、長期に渡って第一線に立ち続けることになります。最後の条約型重巡「カナリアス」が退役したのは、フランコ総統が死去した1975年のことでした。(右画像は退役後の1977年に解体のため移動中の「カナリアス」)

 その後、冷戦の中で米国と接近できたスペインは軍事援助を得ることができます。以来、スペインと米国は非常に親しい関係にあるようです。
 1967年には、米海軍から航空機運搬艦「カボットCabot」(旧「インディペンデンス」級軽空母)を貸与され、念願の空母保有を果たします。同艦は、かつての水上機母艦を襲名して「デダロ」と命名されました。1972年に正式譲渡。

 現在のスペインは、新空母(小さいけれど)「プリンシペ・デ・アストゥリアスPríncipe de Asturias」や、イージスシステム搭載フリゲート(廉価版ですが)を保有する中堅海軍国の座に復帰しています。世界ランキングでいえば内戦前と同じくらいかもしれません。
 対テロ戦争ではアメリカ海軍と協同し、北朝鮮からのスカッドミサイル輸送中の貨物船をイエメン沖で臨検するという「大戦果」を挙げています。
 また、西領セウタ沖に浮かぶ無人島ペレヒルPerejil島(モロッコ名:レイラLeila島)を巡るモロッコとの国境紛争で、2002年7月にはセウタとメリーリャへ出動したりもしています。同島に「侵攻」していたモロッコ兵6名は、ヘリコプターで空挺降下したスペイン軍によって拘束され、島は無血奪還されました。
 今でもスペイン海軍の正式名称は、かつてと同じ“La Armada Española”を名乗っています。サッカーの世界だけでなく、無敵艦隊よ永遠なれといったところでしょうか。(このシリーズ終わり)

スペイン内戦と海軍の年表はこちら
目次・参考文献リストはこちら

  middle_1141046305.png middle_1141046329.png

戦艦「エスパーニャ」と、フリゲート「アルバロ・デ・バサンÁlvaro de Bazán」
 (画像提供:アイコン&お絵描き工房
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