山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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帝国の守護者(第7回)

5.「マカウ」の場合(前編)
 1909年、英国スコットランドのヤーロー造船所で、一隻のポルトガル軍艦が進水しました。
河用砲艦マカオ_舞子 名前を、河川砲艦「マカウ(マカオ)Macau」と言います。
 新造時の要目:排水量95t、速力12kt
           兵装57mm×2、7.7mmMG×2
 その名の通り、ポルトガルが中国に持つ植民地マカオを警備するための専用艦でした。あまりに小型かつ喫水も浅いため、自力での回航は不可能で、輸送船に搭載されて香港へ運ばれ、そこからマカオへ到着しました。最終艤装も、香港へ移動してから行われたようです。

装甲艦ヴァスコ・ダ・ガマ 到着後の「マカウ」は、ポルトガル極東艦隊に所属することになります。この当時のポルトガルは、極東に、装甲巡洋艦「ヴァスコ・ダ・ガマ」(左画像)、防護巡洋艦「アメリア王妃」、大型砲艦「パトリアPatria」などの比較的大きな兵力を持っていました。
 根拠地となったマカオは古くからポルトガルの影響下にあった土地で、アヘン戦争の少し後に事実上の占領をした土地です。以来、ポルトガルの最大にしてほぼ唯一の中国拠点になってきました。17世紀にはオランダの攻撃を受けながら、要塞砲でオランダ艦を撃沈して守り通したこともあります。
 就役翌年の1910年にポルトガル本国では革命が起きても、はるか極東の地では大きな変化はなく、「マカウ」は、淡々と警備任務に就きます。僚艦たちは徐々に入れ替わりましたが、「マカウ」は変わりません。サラザール体制下では、新造された警備スループやホーカー「オスプレイOsprey」水上機数機が、極東に追加配備されたようです。
 こうして「マカウ」は、マカオに張り付いたまま、太平洋戦争という激動の時を迎えることになるのです。

 ただ実は、「マカウ」は、太平洋戦争以前にも一度だけ、戦闘を経験したことがあります。それは、就役翌年の1910年、革命直前の夏のことです。
 マカオ近くにコロアンColoane島という島があります。マカオ本土と同じくポルトガル領でしたが、この当時、海賊の根城となっていました。現在では本土と橋でつながっていますが、もちろん当時は橋はなく、船で渡るしかありませんでした。
 ようやく警察が本腰を入れて掃討作戦をすることになり、極東艦隊も、支援に出動することになったのです。
ポルトガル海軍歩兵 7月12日、砲艦「パトリア」「マカウ」が艦砲射撃をする中、武装警官隊100人が島に上陸します。ところが、武装した海賊の抵抗は激しく、警察側にも次々と死傷者が出る始末。香港で待機していた防護巡「アメリア王妃」が応援に駆けつけ、「マカウ」らと共に陸戦隊を上陸させたため、1週間後の7月19日になってようやく投降させることに成功しています。(右画像は19015年撮影のポルトガル海軍歩兵)
 植民地駐留の砲艦にとって、治安維持は重要な任務です。それが、たまには割合派手な働きになることもあるという一例。

 さて、1941年12月、日本軍が連合国との戦争状態に突入し、太平洋戦争が始まります。これに先駆け、欧州では、すでに大戦が始まっていました。
 ポルトガルは、第一次世界大戦同様に、中立を宣言します。ポルトガル首相で、事実上の独裁者(形式的には元首の大統領がいます。)であったサラザール博士は、しばしばヒトラーと同列のファシストとされますが、そう単純でもなかったようです。枢軸国側に参陣することはありませんでした。むしろ、連合国寄りと言うか、英国寄りと言ってよいかもしれません。
 中立国としてのポルトガルは、両軍の外交の窓口となったり、諜報戦の舞台になったりしていきます。例えば、日米間の外交官・民間人の捕虜交換は、葡領モザンビークのロレンソ・マルケスを交換点として行われました。(後編へ続く
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