山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
    --:-- | Top  このエントリーをはてなブックマークに追加

リーフ共和国興亡(第14回)

4.エピローグ(承前)
(4)新生スペイン共和国

マヌエル・アサーニャ アルフォンソ13世の亡命の後、スペインには左翼的な共和政府が成立します。後にスペイン内戦時の共和政府大統領となるマヌエル・アサーニャManuel Azaña(右画像)も、陸軍相として入閣し、次いで首相に昇っています。
 新政府の下では種々の改革が試みられ、ドイツのヴァイマール憲法の影響を受けた新憲法も制定されました。

 改革の波は、軍部に対しても及んできます。
 特に、実力の低さを露呈してしまった陸軍は削減の槍玉にあげられ、本国軍の兵力を16個師団から8個師団へと半減の憂き目にあっています。貴族軍人の退役も進められます。中将職だった軍管区司令が廃止され、少将までで退役ということに変わりました。

 しかし、アサーニャ内閣も、カタロニアやバスクの独立運動やカトリック教会問題、不況など山積する問題を解決することはできず、次第に支持を失っていくことになります。1933年の選挙で敗れ、退陣しました。
 代わった保守派内閣も事態を収拾することができず、スペイン共和国は大混乱に陥っていきました。


(5)アフリカの将軍たち
 リーフ戦争では、スペイン陸軍の「アフリカ派」が、台頭しました。
 その中の若きエースとなったのが、フランシスコ・フランコ准将です。数々の武勲を立てた彼は、1926年2月、まだ健在だったアルフォンソ13世によって准将の位を与えられていました。当時、フランコは若干33歳。ヨーロッパ最年少の将軍の誕生と言われました。
 その後、彼は、リベラ将軍によってサラゴサに新設された陸軍総合士官学校の長に収まり、軍の内部改革を試みました。ドイツ陸軍への視察旅行も行っているようです。しかし、サラゴサ士官学校はアサーニャ軍縮の対象となってしまい、閉鎖されてしまいます。

 多くのアフリカ派の軍人たちは、不満をあらわにしていました。ことにアルセマス上陸作戦時の司令官だったサンフルホ少将は、1932年にクーデター未遂事件まで起こし、140人余りの配下将校と共に逮捕されています。
 意外かも知れませんがフランコ准将は、とりあえず政府に忠実であり続けます。続発する各地の反乱を黙々と鎮圧。その功績で、保守派政権下ではモロッコ方面軍司令官に任命されます。ここでも、フランス軍と再び共同戦線を張って、西サハラの征服をしています。人民戦線政府成立前には、当時のスペイン軍最高階級の陸軍少将、地位は総参謀長にまで上り詰めていました。(人民戦線政府によって、カナリア諸島総督へ左遷されますが。)


(6)スペイン内戦へ
 1936年、人民戦線政府の成立が原因となり、スペインは内戦へと突入していくことになります。
 その戦いの火の手は、まずモロッコから上がりました。そして、内戦中、多くのモロッコ人兵士「ムーア(モーロ)兵」が国粋派に動員され、戦闘に加わっていきます。その戦闘力は、共和派に非常に恐れられました。
 共和政府は、国粋派の一大拠点となったモロッコに対して、あまり内乱工作のようなものは仕掛けませんでした。共和政府を後援するフランスの反対があったからと言います。リーフ共和国の残存勢力との接触は、ほんの1度試みられただけのようです。この試みは完全に失敗しました。
 内戦中、大規模な敵前上陸作戦が行われました。共和派によるバレアレス諸島攻略作戦です。このとき用いられた主力揚陸機材は、リーフ戦争中に用いられた「K」型揚陸艇の生き残りでした。
 内戦に勝利したフランコ将軍は、国家元首となってモロッコの支配を続けていきます。なお、リーフ戦争中にフランス軍の司令官だったフィリップ・ペタン元帥は、ご存知の通り、第二次世界大戦中にフランス首相に就きます。いわゆるヴィシー・フランス政府です。すなわち、リーフ戦争には、後に国家元首となる2人の将星が顔を揃えていたということになります。二人とも枢軸国と微妙な関係に立たされる点で、因縁じみたものがあるかもしれません。
 モロッコの独立が果たされるのは、第二次世界大戦の後、1956年というまだ先のことになるのでした。(このシリーズ終わり)

第1回に戻る。
関連年表・参考文献を見る。
Comment







(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
Trackback
http://yamanekobunko.blog52.fc2.com/tb.php/218-99df8d58
プロフィール

山猫男爵

Author:山猫男爵
ここは「塹壕文庫」「山猫文庫第二壕」に続いて三代目のブログになります。
連絡したいことがある方は、記事のコメント欄か、サイドバー下方のメールフォーム、あるいはツイッターから、お気軽にどうぞ。
Twitter:baron_yamaneko

最新記事
カテゴリ
検索フォーム
参加企画
にほんブログ村 歴史ブログ 近代・現代史(日本史)へ
にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ
リンク
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール(不要ならそのまま):
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。