山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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回転翼の海鳥たち(第12回)

12.氷海の翼
 第二次世界大戦が終結した後も、ヘリコプターは着実に地位を築いていきました。
 1946年3月に、北大西洋上で米海軍が行った寒冷地戦闘実験「フロストバイトFrostbite(凍傷)」作戦でも、空母「ミッドウェーMidway」艦上に、ヘリコプターが姿を見せています。大戦中から活躍していた、沿岸警備隊所属のHNS-1です。写真撮影に使われたほか、洋上に墜落した艦上機のパイロット救出にも成功し、大いに感謝されています。
 その実績もあってか、1946年7月には、米海軍最初のヘリコプター部隊VX-3が編成されています。(資料によっては1945年12月に編成とする。)

 そして、同年から翌1947年にかけて、ヘリコプターは反対側の南極の空にも現れることになります。米海軍が演習を兼ねて実施した、大規模な南極調査「ハイジャンプHighjump」作戦です。
 派遣されたのは、海軍と沿岸警備隊合同の第68任務部隊(空母「フィリピン・シーPhillipine-Sea」以下水上機母艦2隻、砕氷艦2隻、潜水艦1隻など)で、このうちの水上機母艦2隻に誕生間も無いVX-3飛行隊所属のS-51(シコルスキーR-5の発展型)ヘリコプターが、2機ずつ搭載されています。沿岸警備隊所属の砕氷艦「ノース・ウィンドNorthwind」ほか1隻にも、沿岸警備隊のHNS-1が1機ずつ搭載されていました。
 調査の総指揮を執るリチャード・バード退役少将は、戦前にも南極調査隊長であり、ケレットK-3オートジャイロを南極に持ち込んだことがあります。南極に最初の回転翼機を持ち込んだ人物が、進化した機体と共に帰ってきたわけです。
 持ち込まれた総計6機のヘリコプターは、艦隊内や基地との連絡任務に用いられたようですが、その詳細は残念ながら記録に明らかでないようです。事故のためか2機は失われました。

 翌シーズン(1947~48)にも第39任務部隊(海軍砕氷艦「バートン・アイランドBurton-Island」「エディストEdist」)が編成され、南極に送り込まれます。
 なんと今度は、ヘリコプターが主役として期待されていました。作戦名はその名も「ウインド・ミルWindmill(風車)」と、実にぴったりです。
bell47.png 参加した2隻の砕氷艦には、各2機のヘリコプターが搭載されています。機種は、前回と同じHO3S-1(S-51の海軍制式)に加え、HTL-1(ベル47海軍制式。画像は陸軍仕様H-13)も1機含まれていました。初期の成功作2機種が、揃い踏みの格好です。
 今回も強風のために事故が相次ぎ、HTL-1は墜落、HO3S-1も損傷してしまいましたが、水路調査や連絡、測量用の航空写真撮影などに活躍し、高い評価を得ることができたようです。墜落時にも幸いにして死者は出ませんでした。
 ちなみに1月27日には、日本の「橋立丸」捕鯨船団(日本水産=現ニッスイ)と遭遇し、乗船していた監視員が移乗したりと交歓しています。
 任務部隊は、1948年3月末に、無事にノーフォークへ帰還しました。

 このようにして、艦載回転翼機は、極地調査に欠かせない装備になってきたのです。後に日本が南極観測船「宗谷」を設計した時にも、当然のようにヘリコプターが搭載されたのでしたが、それはまた別の話としましょう。(第13回に続く

追記
 捕鯨母船「橋立丸」の前身は、大戦中1944年に竣工した1TL型戦時標準船(大型タンカー)。
 日本水産(株)の保有船で、南方占領地からの石油輸送に投入されたが、二航海目の往路に台湾沖で空襲を受け損傷。内地へ帰還したまま終戦を迎えていたものを、大改装して捕鯨母船とした。
 1946~47年期の第一次南氷洋捕鯨から参加しており、第39任務部隊と遭遇したのは第二次南氷洋捕鯨の際。

 バード少将のハイジャンプ作戦と言うと、オカルト方面で有名なようです。なんでもナチスドイツの残党と交戦したとか、南極にある穴から出てきた地底人と戦ったとか。
 とすると失われた2機のヘリも、地底人の円盤に撃墜されたのかもしれません。なんてな。
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