山猫文庫第3版

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回転翼の海鳥たち(第17回)

17.新八八艦隊(しんはちはちかんたい)
 第二次世界大戦での敗戦により、日本海軍は公式には消滅しました。しかし、第二復員省などを経て、海上自衛隊と海上保安庁として復活を遂げたのはご承知の通りです。

 さて追記に記したような特殊な例外を除くと、新生日本海軍が所有した最初のヘリコプター母艦は、海上保安庁の南極観測船「宗谷」(1956年)になります。(第14回参照
 一方、海上自衛隊に限って言えば、1960年に就役した掃海母艦「はやとも」が、回転翼機の搭載設備を有する最初の例になるのではないかと思われます。これは、米海軍所属の揚陸艦「LST-802」改装の掃海母艦を供与されたもので、おそらく追記に書いた朝鮮戦争時の改装LSTと同様の性能です。
LST_siretoko.png ついで、1962年、同じく元米軍LSTの輸送艦「しれとこ」(左画像)にも改装工事が施され、ヘリコプターの発着設備が設けられます。建造中の新型砕氷艦「ふじ」艦載機の搭乗員訓練用でした。
 そして、1965年、海上自衛隊最初の本格的なヘリ搭載艦である砕氷艦「ふじ」が就役するのです。戦後20年が経っていました。

 戦闘用の護衛艦への搭載例として最初となったのは、1967年就役の護衛艦「たかつき」への無人ヘリDASH採用でした。米海軍に習ったものですが、既述のように米海軍で使用中止になると、これは部品供給が絶たれて使用中止に追い込まれてしまいます。
 しかし、カナダ海軍でベア・トラップが開発され、小型艦でも本格対潜ヘリコプターの運用が可能になると、海上自衛隊にもヘリコプター搭載護衛艦DDHが就役することになりました。海上自衛隊には、警備隊時代からずっと対潜空母の保有構想が存在してきましたが、ついにその夢が(少しだけ)実現することになったわけです。
DDH_haruna.png
  1967年からの三次防のなかで2隻が計画され、1973年にDDHの1番艦「はるな」が就役しました。1964年就役のイタリア海軍ヘリコプター巡洋艦「アンドレア・ドリア」に類似した艦ですが、搭載機は大型のHSS-2対潜ヘリが3機と強化されていました。改良型の「しらね」型も合わせ4隻が整備され、現在に至るまで自衛隊の洋上航空戦力の中核となっています。なお、前出の輸送艦「しれとこ」が再び改装され、ベアトラップの導入試験に用いられています。

 ところで、かつての日本海軍には「八八艦隊」と称する戦艦8隻・巡洋戦艦8隻の艦隊構想がありました。
 後継者の海上自衛隊にも、通称「新八八艦隊」という艦隊構想が生まれることになります。護衛艦8隻に艦載ヘリ8機をもって1個護衛隊群とする構想です。従前の研究の結果、対潜作戦には護衛艦8隻を集中するのが効率的ということが判明していましたが、これに艦載ヘリ8機を組ませることとしたものです。
 実は、当初は各護衛隊群にDDH2隻を配備しヘリ6機を運用する、いわば八六艦隊の構想でした。6機を配備すれば4機は即応体制に置け、2機組の攻撃部隊が2組作れるという計算だったようです。
hss2.png しかし、そのうち、艦隊の前方警戒のために1機を空中待機させたい、高性能の原潜に対処するには3機組でないと効果が薄いなどの事情から、汎用護衛艦にもヘリコプターを配備して編成変えし、8機に増やすという結論になったようです。8機あれば6機は即応体制を期待できる計算だといいます。
 かくて1982年に、ヘリコプター1機を搭載した汎用護衛艦「はつゆき」型の配備が始まり、構成艦・搭載機を更新しつつ、1990年代中盤には八八艦隊編成の護衛隊群4個が完成するに至ったのです。(第18回へ続く


追記
 海上自衛隊の前身である海上警備隊が成立したのは朝鮮戦争のときですが、いささか強引に言えば、戦後最初の「日本の」艦載回転翼機が出現したのも、この朝鮮戦争のときではないかと思われます。
 朝鮮戦争には、海上保安庁の掃海部隊が派遣されたのが知られていますが、これとは別に、日本の民間船籍の揚陸艦も従軍していました。当時の日本には、引揚船や民需用として使用するために、旧米海軍のLST型揚陸艦が多数貸与されていました。これらが国連軍に傭船されることになり、日本人船員ごと軍事輸送に駆り出されたのです。
 そして、これらのLSTの中に、改装工事を受けて臨時のヘリコプター搭載掃海母艦になったものがあったのです。既述のように、米海軍自身が有するLSTの中にも同目的の改装を受けたものがあり、これと同様の改装とすれば最大でヘリコプター3機が搭載できたものと思われます。少なくともSCAJAPナンバー(占領軍が日本船に割り当てていた整理番号)でいうと「LST-Q007」「Q009」「Q012」の3隻が改装されたようです。もちろん、搭載されたヘリコプターは米海軍所属のものですが。
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