山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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回転翼の海鳥たち(第19回)

19.新しき猛禽の巣立ち
 いまや艦載ヘリコプターの存在はすっかり定着しましたが、さらに新しい回転翼艦載機も実現しようとしています。ひとつは転換式航空機と呼ばれるグループ、もうひとつは無人回転翼機グループです。

(1)転換式航空機
 転換式航空機Convertible Aircraftとは、ヘリコプターのように垂直離陸VTOLして、飛行機のように飛ぶ機体のことです。滑走路が要らず、ヘリコプターよりも高速という夢のような機体です。
 その起源は1941年頃のドイツに遡ります。軍用ヘリ一号Fa223を実現したフォッケ・アハゲリス社が研究したもので、Fa269と称する機体でした。主翼に左右一基ずつのローターを装備して一見双発機に見えますが、エンジンは胴体に装備した1基だけという凝った造りの単発機として計画されます。離陸時にはローターを下向きにして揚力を得て、離陸後は後向きにローターを向けて推進式のプロペラ機として飛ぶ……はずでした。木製模型のみで終わっています。完成すれば艦上戦闘機などに用いる予定だったといいます。
tiltwing.png

 転換式航空機が実際に艦上に姿を見せたのは、1960年代のことです。米軍向けにヴォート社やヒラー社の共同開発した4発輸送機XC-142が、1966年5月18日に米空母「ベニントンBennington」での艦上試験に成功します。このXC-142は、ローターだけの向きを変えるのではなく、エンジンのついた主翼ごと向きを変えるティルト・ウイングと呼ばれる形式の転換機構を備えていました。(これに対して、Fa269のようなローター部分だけの向きを変える形式をティルト・ローターと呼びます。)
 ついで1971年には、カナダが開発した同じくティルト・ウイング形式の双発輸送機カナディアCL-84も、米強襲揚陸艦「グアムGuam」での艦上試験を行っています。
 しかし、この2つの機体は、いずれも採用されることはありませんでした。

v22.png このように構想は古くからあっても、長年実用化されなかったこの分野の機体ですが、20世紀末についに制式採用機が登場します。それがベル・ボーイングV-22「オスプレイOsprey」です。愛称はミサゴという猛禽類の一種のこと。
 代表的なヘリコプターメーカーのひとつベル社は、1955年にティルト・ローター機XV-3を初飛行させ、1977年には米陸軍の依頼にこたえてXV-15を試作してきました。このXV-15が好成績を収めた結果、1982年にV-22の開発計画が決まったのです。
 その計画の中に、海兵隊向けの強襲揚陸仕様が含まれていました。既存の艦載輸送ヘリCH-46などに替わって配備される予定です。なお艦載用としては、他に早期警戒仕様なども提案されてはいるようです。
 1989年に試作機が初飛行し、翌年には強襲揚陸艦「ワスプWasp」での艦上試験にも成功します。その後、何度も開発中止の危機を乗り越え、1996年には先行量産開始、2005年には本格生産も決定されています。すでにイラクで実戦試験も始まったようです。
 ヘリコプターに替わって甲板上に並ぶ日も、そう遠くないことでしょう。(最終回へ
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