山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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空の技術―設計・生産・戦場の最前線に立つ

渡辺洋二「空の技術―設計・生産・戦場の最前線に立つ」
               (光人社NF文庫、2010年)
空の技術―設計・生産・戦場の最前線に立つ (光人社NF文庫)
総合評価:★★★★☆
 「航空ファン」誌ほかに初出の記事を集録した全9編の短編集。
 航空兵力とは、人と機材と燃料と施設があいまって紡ぎだされるものである。航空戦は、戦闘機対戦闘機の華々しい空戦としてだけ行われるものではなく、地道な機材開発や日々の整備、工場での生産など、空の戦いを支える様々な地上の「航空戦」が行われているのである。

「チーフデザイナーとの接点」
 著者の過去の取材対象者となった、土井武雄、堀越二郎ら9人の航空機設計者についての回想。

「三型に携わって」
 一式戦闘機3型に異なる立場から関わった3人の人物への取材記事。勤労動員で立川飛行機勤務だった中学生、明野教導飛行師団の大尉、20mm機銃搭載の武装強化仕様一式戦3乙型を設計した立川飛行機の技師の3人。
「半田に青春ありき」
 中島飛行機半田製作所で働いた人々について。勤労動員の女学生らの東南海地震における体験談を含む。

「生産を戦力に結ぶ者」
 川崎飛行機岐阜工場で製品の社内試験飛行を担当した民間人テストパイロットについて。彼らが組織した「川崎防空戦闘隊」の戦闘や、陸軍航空廠の受領テストパイロットの話題も含む。

「軍偵と排気管」
 地上支援に活躍した九九式軍偵察機と、その装備部隊のひとつ飛行第44戦隊における機体の独自改修について。現地整備班が尾輪支持架や排気管を改良し、生産工場にフィードバックされるまで。

「再生零戦今昔物語」
 ブーゲンビル島ブインに取り残された旧第201海軍航空隊(解隊され第82警備隊)の将兵が、残骸を寄せ集めて整備した零戦について。戦後、ニュージーランド軍が接収し、オークランド戦争記念博物館に展示。

「ドロナワ式対潜作戦始末」
 日本海軍の対潜哨戒機について。専用機「東海」、対潜爆弾・H-6警戒レーダー・磁気探知機KMXなどの機材のほか、対潜警戒時の飛行パターンや護衛空母の使用など、日本海軍の対潜航空戦を簡潔ながら広く押さえる。

「各国偵察機、実力くらべ」
 日本陸海軍、ドイツ、英国、米国の4国の陸上偵察機を比較した記事。

「夜の『ヘルキャット』」
 F6F-3N/3E/5N/5Eその他の米海軍夜間艦上戦闘機について、開発史、レーダー等の技術面、フィリピンや沖縄海域での実戦など。同著者が日本軍の夜間戦闘機について書いた「日本海軍夜間邀撃戦」や「彗星夜襲隊」と併せて読むと泣ける。

 いかにも渡辺洋二らしい直接取材を重視した記事ばかりです。
 なお、あとがきで、航空関係の執筆活動を終了する予定である旨を述べているのは残念です。そろそろおしまいと思って読むと、本書の全般構成が単行本未収録作品の落ち穂拾いに見えてきたり、「チーフデザイナーとの接点」が取材後記に感じたり(初出は2004年で特段最近ではないのですが)いたします。

総合評価:★★★★☆
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