山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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ガダルカナルを生き抜いた兵士たち

土井全二郎「ガダルカナルを生き抜いた兵士たち―日本軍が初めて知った対米戦の最前線」
                  (光人社NF文庫、2009年)
ガダルカナルを生き抜いた兵士たち―日本軍が初めて知った対米戦の最前線 (光人社NF文庫)総合評価:★★★★☆
 太平洋戦争の名高い激戦地ガダルカナル島。そこには、ソロモン海戦、一木支隊の全滅、ヘンダーソン飛行場砲撃、奇跡の撤退作戦と良く知られたエピソードの陰で、苦しみ生き抜いた兵士たちの戦闘があった。果敢に戦った建設部隊、飢島の果ての人肉食、撤退援護の捨て石部隊、そして取り残された兵士たち。重い口を開いた生存者の声を集め、地獄の戦場ガダルカナルの、さらに最奥の深淵を垣間見る。
 1995年に出た「ガダルカナル―もうひとつの戦記」(朝日ソノラマ)の文庫版です。
 著者の土井は朝日新聞の元記者で、「ダンピールの海」(丸善、1994年)など船舶関係を得意とする作家ですが、本書は陸戦物。新聞記者らしい、生存者へのインタビュー取材を基礎にした内容となっています。

 ガダルカナルの戦い関連の書籍は数多いですが、本書はかなりマイナーな部分に注目しています。
 例えば、ガダルカナル島で飛行場建設をしていた海軍設営隊。たいていの本では冒頭でアメリカ海兵隊に一蹴されるだけの可哀想な書かれ方が多いですが、実は全滅したわけではなく、「ガ島守備隊」(指揮官:門前鼎大佐)として再編されて、増援の川口支隊の到着まで生きのびていました。本書では一木支隊の到着を心待ちしつつ、乏しい武器を駆使してしばしばアメリカ軍を撃退する様子が語られます。
 また、成功ばかり語られがちなガダルカナル撤退戦の暗い一面も、複数の視点から描いています。援護部隊として送りこまれた老兵ばかりの捨て石、矢野集成大隊。集合時刻に間に合わず、あるいは撤退作戦を知ることすらなく、ガダルカナル島に取り残された兵士のその後の孤独な戦い。捕虜となっての収容所生活。

 噂話としてしばしば語られる人肉食も、かなり具体的な体験談が出ていて驚きました。NHK戦争証言プロジェクトで人肉食の体験談が取り上げられて、告白は史上初ではないかと話題になりましたが、ほかにも無いわけではないのですね。この本に出てくる話もかなり凄惨で、ここまで追い詰められたのかとショックを受けました。
 本書タイトルの「生き抜いた兵士たち」が、こういう意味であったのかと腑に落ちます。

総合評価:★★★★☆(まさにサバイバル、生存をかけた戦闘)
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