山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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鯨飲は原因か

 サンマ、大変おいしく頂いています。サンマという魚は、年によって豊漁・不漁がだいぶ変動がある生き物のようですが、今年は豊漁とか。
 ふと思い出したのが、変動の一因にクジラが絡んでいるという話です。大学の歴史学の講義で、なぜか取り上げられていて、聞いた記憶があります。当時の資料を引っ張り出して見てみると、人類が利用している海面水産物の数倍をクジラが食べているとあります。なるほど。

 原資料の小松正之「くじら紛争の真実」にあたると、人類の海面生産9000万tに対して、クジラ類の捕食量は3~5億tとありました。ミンククジラはサンマやイワシを食い荒らしていると写真付きで載っています。
 著者は、捕鯨が、食糧危機の救世主となりうると言っています。増えすぎたクジラを減らせば、水産資源のより効率的利用ができるということのようです。

 ただ、よく読むと、この数字はちょっと大げさなように思えました。
 実際には人間と競合しない部分が多く含まれているようです。
 付表を見ると、クジラ側の算定ベースになっているのは、シロナガスクジラやミンククジラなどのヒゲクジラのほか、マッコウクジラやイルカ類まで含めた推定値です。
 ところが、同書によると、このうちマッコウクジラなどは深海イカを主食としているとあります。さらに、南極にいるクジラは、ナンキョクオキアミというプランクトンだけを食べるのだそうです。太平洋などのヒゲクジラも、別に魚だけを食べるわけではなく色々食べるようです。
 著者自身、深海魚やオキアミは人が好むものではないとして、利用可能資源の計算から除外しようとしているのに、一方で計算に入れるのは適当では無いでしょう。
 非常におおざっぱな計算ですが、こうした非競合分は2億~3億5000万tくらいになりそうです。マッコウクジラと、南極のヒゲクジラと、太平洋のヒゲクジラの半数の消費量を足した数字です。

 そうすると、実際の競合分は、せいぜい1億t~1億5000万tといったところとなりそうです。それでも人間以上の量ですから、なかなか大きな数字です。
 ただ、色々な種類を全部合わせてこの量ということを考えると、雑食なのにこれだけ食べるホモ・サピエンスの方がすさまじいかなとも、私には思えます。

 クジラに漁獲減少の責任を被せるのは、ちょっと無理があるんじゃないかなというのが個人的な結論です。人間の方が増えたから、最近競合するようになってきたというのが、客観的なところではないでしょうか。
 それにクジラを減らしても、それで単純に人間の取り分が増えるほど、生態系は単純ではないような気がするんですけどね。例えばマッコウクジラを減らすと、生き延びるイカが増えて、それがイワシをもっと食べるかもしれないなあなどと。
 人間の知ってることなんて、まだまだ少ないでしょう。生物を『合理的に管理すべき人類』なんて発想は、いまのところ忘れておいたほうが賢いと思うのですけど。

 少しだけ利用させて下さいくらいが良いとこなんじゃないかな、と思いつつ、食べるサンマのはらわたはちょっと苦いのです。

参考
小松正之「くじら紛争の真実 その知られざる過去・現在、そして地球の未来」(地球社,2001年)
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