山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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世界の中心で愛を叫んだけもの

 元ネタの元ネタのほう。


ハーラン・エリスン「世界の中心で愛を叫んだけもの」
  朝倉久志・伊藤典夫訳
   (原題:“THE BEAST THAT SHOUTED LOVE
              AT THE HEART OF THE WORLD”)(ハヤカワ文庫,1979)

世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1)世界の中心で愛を叫んだけもの総合評価:★★★☆☆
 表題作ほか15編+「まえがき」からなる短編集。

「世界の中心で愛を叫んだけもの」
 アメリカで一人の残虐な無差別殺人犯が死刑となった。しかし、その判決直前、男はなぜか叫んだのだ。「おれはみんなを愛してる、おまえたちみんなを!」
 その後、なぜか、その男の石像が、宇宙の果てで見つかる。なぜか。
 クロスホエンと呼ばれる、人類の知らない清浄の地にすべての答えはあった。

「星ぼしへの脱出」
 異星人の侵攻をうけた星がとった秘策、それは、
自分たちの脱出を認めない限り、爆弾で星ごと道連れにするという脅迫だった。脱出は成功し、星には時限爆弾が残された。
 異星人は、爆弾のありかを探すが見つからない。なぜなら、爆弾は、星に置き捨てられた一人の男に埋め込まれていたからだ。生き残るために男がとった行動とは。

「少年と犬」
 核戦争後の荒廃した世界で生きる少年と遺伝子操作犬。
 女に飢えた少年は、ある日、地下都市からやってきた少女を発見して……。

 ベストセラー小説の題名の元ネタ(の元ネタ)ということで手に取った人は、とうてい最後までは読みきらなかったであろう一冊です。
 ストーリー性が希薄だったり、設定や世界観が全くわからなかったりといった作品が多いと思います。ひたすらに、暴力と麻薬と幻覚に彩られているだけといった印象を受けます。
 そのなかで、上に紹介した表題作および「少年と犬」は、普通の物語として読んで面白いものです。
 表題作は、一度最後まで読んでから、もう一度読み返すと全体の構造がはっきりと見えるかと思います。ただ以下ネタバレになりますが、クロスホエンの検察官で、主人公センフの友人であるライナは、他の世界を犠牲にしてでもクロスホエンを清浄に保つことに唯一の希望があると言います。これは純粋に本心と捉えていいのか、まだ私は自信が持てていません。
 「少年と犬」は一言で言うと、三角関係を描いた作品です。非情で衝撃的なラブストーリー。映画化もされているそうです。

 エリスン氏は、かなり特異な作風で、読者を選ぶものでしょう。しかし、題名に関しては、言語センスを感じさせるものが多く、内容とは異なって受け入れやすいものかと思います。
 例えば、「ガラスの小鬼が砕けるように」(本書収録)、「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」など。いずれの邦題も、直訳です。

 なお、某ベストセラーのおかげで、重版がかかっており、非常に入手しやすくなっていると思います。インスパイヤもたまには人の役に立つということでしょうか。

総合評価:★★★☆☆(短編集全体の評価としては……。)
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