山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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水域

 肌の乾燥が気になる今日この頃、いかがお過ごしのことでしょうか。
 私は、唇が荒れ果てて、飲み物がしみて困っております。唇の皮が少しささくれ立ってカサブタ風になると、それを無意識のうちに歯ではがしているのが、さらに症状を悪化させている気がします。
 そこで今日は、たっぷりと潤いのある、あるいはじとじとと湿った本をご紹介しようと思います。


椎名誠「水域」
        (講談社文庫,1994年)

水域 (講談社文庫)総合評価:★★★☆☆
 完全に水に覆われ、凶暴で危険な生物に満ちている世界。
 青年ハルは、湿ったおんぼろ筏で、一人水面を漂う。時折出くわす他の男たちに、だまされたり、もてなしをうけたり。
 ハルはいつしか、巨大な浮島に流れ着く。ハルの船は流木に押しつぶされ、あえなく失われてしまう。そして、ハルは、島で一人の美しい女に出会う……。
 「アドバード」「武装島田倉庫」と並ぶ、シーナ的異常世界SF小説です。
 以前に紹介した「地球の長い午後」とも通じる、すみずみまで構築された奇妙な生態系がその特徴。登場する異常生物の一部を並べてみると、クチマガリ、舌出し、サキヌマドクタラシ、そして他作品にも登場の「乱歯(カミツキウオ)」……。これらが、何の説明もなく、ポンと放り出されるところを面白いと見るか否かが、好悪のひとつの分かれ目でしょう。私は好きです。

 ストーリーとしては、そんなにひねりも無くという感じです。果てしない水面にポツリポツリと浮かぶエピソードを、流れのまま淡々と追うイメージです。
 思うに最大の山場は、流れ着いた巨大浮島からの、島で出会った女ズーと協力しての脱出なのですが、それが物語の中盤少し過ぎあたり。そのため、以降がやや盛り上がりに欠ける気がします。謎の武装集団と戦ったり、ズーがあっけなく死んでしまったり(ネタバレぎみですが、裏表紙のあらすじにも書いてあるのでご勘弁)、イベントはあるのですが……。

 主人公がサルベージ業をやったことがあったり、「死人船」なんていう埋葬法が出てきたり、水の世界らしさはそれなり出ているでしょう。
 サルベージの狙いが酒と言うあたりは、シーナ的かなと思います。
 ちなみに、女性描写も、作者らしさ(というか好み)が強く出ているようで、これを不快に思う方もいるかもしれません。逆に、女は黙ってついて来いな人は満足でしょう。

総合評価★★★☆☆(同じシーナワールドなら、他の二作品のほうがお勧め。)
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