山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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武装島田倉庫

椎名誠「武装島田倉庫」
          (新潮文庫、1993年)

武装島田倉庫 (新潮文庫)総合評価:★★★★★
 「戦争」で南北に国が分裂、荒廃し、異常生物がうろつく世界を舞台とした7話の連作短編集。

「武装島田倉庫」
 可児才蔵は、倉庫会社「島田倉庫」に就職した。
 北政府の操る白拍子の襲撃に備えるため、島田倉庫は武装をすることになった。

「泥濘湾連絡船」
 橋が修復不能なことに目をつけた漬汁屋は、渡し舟をはじめる。
 定吉は船の操縦をすることになり、盲目の超能力少女の誘導のもと、泥濘に乗り出す。

「総崩川脱出記」
 北政府軍の接近に、捨三少年たち一族は、逃避行を始める。

 「アドバード」「水域」と並ぶ、椎名誠による異常世界SF、シーナワールドのひとつです。
 説明無しに、奇妙奇天烈な生物や道具がでてくるのは、シーナ作品共通です。例を挙げておくと、フーゼル油、三足踊豆、壺口、ねご銃など。私が気に入ったのは、動物遺伝子を組み込んだ豆らしい三足踊豆と、フーゼル油で動く作業機械カニムカデといったところです。
 こうしたシーナ作品は、「地球の長い午後」の影響をだいぶ受けているといわれるようです。本書中では、「総崩川脱出記」には、特にそれが顕著に現れています。ただ、それ以外の話は、オリジナル色が強く、うまく消化されたものになっているかと思います。

 連作短編集ということで、いくつかの話を読み進めていくと、徐々に相互のつながりが見えてきます。なかなかうまく伏線が張られていて、面白かったです。
 ただ、大体見当はつくけれども、はっきりとはわからない部分も残ってしまいます。カマキリ氏の正体は、やはりあの人物でいいのだろうか、というのが個人的に気になります。

 一般的な評価としては、「アドバード」のほうが高いようです。確かに、アドバードのほうが、比較的に読み手を選ばない作品のような気はします。
 ですが、ここはあえて本作のほうを、シーナSFの最高傑作に推させて頂きます。本作のほうが、作者がやりたい放題に書いた感じがしますが、その分、異常世界とその住人の妖しい魅力がフルに発揮されているように思うのです。

総合評価:★★★★★(フーゼル油臭いシーナ最高傑作。)
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