山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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食味風々録

贅沢は敵だ。
贅沢は素敵だ。
神は汝の敵を愛せよといった。


阿川弘之「食味風々録」
             (新潮文庫,2004)

食味風々録 (新潮文庫)
総合評価:★★★★★
 元海軍士官で、作家である著者の、食についての随筆集。題名は「ぶうぶうろく」と読む。
 海軍での食事についてや、向田邦子、奥本大三郎らの文人にまつわるエピソードなどをつづる。全28篇。ほか、巻末には、娘の阿川佐和子氏との対談を収録。
 題名は、食に関するこだわり・不平の多さからつけたそうです。不満ぶうぶう。
 鼻につくグルメっぽさというのは、それほどありません。細かなうんちくは入りますが、不思議といやみには感じません。作者ご本人が、文句が多い質であることを認めたうえで、自身の感覚に非常に正直に書かれるからと思います。例えば、「味の素」を頭ごなしに否定せず、むしろ親しげに書かれたりします。養殖鯛を捨ててしまった下りは、ややどうかとは思いますが。
 また、他の文人方とのエピソードに大変興味深いものがあります。斉藤茂吉と鰻、向田邦子と栗鼠の糞、永井龍夫とビールなど、それぞれの人間性の一端がうかがわれます。

 私がもっとも興味を引かれたのは、海軍にまつわる部分です。
 中国戦線で食べた「揚子江の鯛」の話、近所の老医師が好む「かいぐん」こと海軍式肉じゃがの話。
 中でも、戦争後半に食べたという司令官主催のフルコースディナーのことが印象に残りました。海軍の開明的な部分を感じさせつつ、一方で軍の特権性も感じるエピソードと思います。その少し後に出てくる、老医師夫人の言葉が意味深です。『そんなことばかりしているから負けたんでございますよね』(127ページ)。そういえば、「火垂るの墓」に出てくる悪役のおばさんもそんなことを言っていたな、と思い出しました。

総合評価:★★★★★(グルメ、文学ファン、軍事マニア、それなりの楽しみ方があるかと。)
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