山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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パパーニンの北極漂流日記

 流氷に乗って行けば、船無しでも旅行ができるかも、などということを考えたことがある方はいませんでしょうか? 私は、大昔、ケストナーの「動物会議」という絵本を読んで、流氷旅行に憧れた記憶があります。
 とりあえず、氷の塊で船を作れば安く巨大空母ができるじゃん、と考えた人は実際いるみたいですけれど。さてさて。


イ・デ・パパーニン「パパーニンの北極漂流日記」
                (東海大学出版会,1979年)

総合評価:★★★☆☆
 1930年代中頃、ソ連の科学者パパーニン率いる4人のソビエト科学アカデミー調査隊が、北極で偉大な科学実験を試みた。飛行機で流氷に乗り移り、そのまま観測をしながら航海をしようというのだ。
 本書は、テント基地「北極一号」での日々を綴った英雄的科学者パパーニンの手記を公刊したものである。
 漂流と言うタイトルから誤解を招きそうですが、シャクルトンのような遭難記録ではなく、意図的な漂流実験の記録です。
 当時のソ連が誇った大型機を使い、流氷上に観測班を送り込むという国家プロジェクト。無線通信はできますし、いざとなれば飛行機で救助してもらえばよいのです。(ちなみに、この飛行機を使って、重航空機による初の北極点飛行も並行して行われています。)
 従って、あまり血沸き肉躍るといった具合ではありません。最後の頃には、流氷が崩壊して危険な目にも遭いますが、基本的には淡々とテント生活の記録が続いています。
 ただ、その地味な生活の話が、それなりに面白いといえば面白いものです。例えば、食事当番をして上手に作れたとか。アルコール類は欠かせないのだなとか。たわいも無いといえば、たわいも無い。

 あくまで科学観測ですから、4人は、標本採集や気象観測、時期観測などの作業を行いながら生活しています。祖国を背負ってるという感じで、実に真面目に作業に取り組んでいたようです。
 標本用アルコールを忘れてしまうという悲劇に見舞われながらも、コニャックを蒸留してアルコールを作り出し、創意工夫で標本を製作したりします。どうしてアルコールを忘れたかと言うと、大事な観測隊用コニャックを輸送中に盗まれないように、コニャックの梱包に「標本用アルコール」と書いておいたかららしいです。それで間違えたというあたりはロシアらしいなあと思ってしまうのですが。

 時代の雰囲気がわかるエピソードも、なかなかでした。
 例えば、ちょうどスペイン内戦の時期だったことから、そのニュースを聞いて一喜一憂したり。北極にいる間に、祖国の英雄として最高人民会議の議員に当選したり。実に祖国への愛と革命精神に満ち満ちた記述があります。

 なお、この本は、「回転翼の海鳥たち」の資料用に読んだのですが、目当てのオートジャイロの話は出てきませんでした。観測隊を回収する砕氷船に積み込まれていたようなのですが。残念。

総合評価:★★★☆☆(退屈と言えば退屈。時代の雰囲気を味わえばなかなか。北極に革命を。)
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