山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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火垂るの墓

 昨夜、テレビをつけると、久しぶりに松嶋菜々子さんがドラマに出ていました。
 題名は「火垂るの墓」。原作やアニメ版から、視点を「悪役」の西宮の小母さんからに変えて、それに合わせて若干の修正を加えた内容でした。節子役の子役の演技は大したものと思いましたが。


野坂昭如「火垂るの墓」
                 (新潮文庫,1987,二版)

アメリカひじき・火垂るの墓 (新潮文庫)
総合評価:★★★★★
 ジブリアニメで有名な表題作をはじめとした短編集。全6編。

火垂るの墓
  終戦から一月後、痩せこけ、便所へ行く気力もなくして、浮浪児が座り込む三宮駅構内、「今、何日なんやろ」とそれのみ考えつつ、清太は死んだ。片付けに来た駅員、ドロップの缶を見つけ、ふるとカラカラと鳴り、モーションつけて駅前の焼け跡、夏草の暗がりへ放り投げ、落ちた拍子にふたがとれて、骨のかけらが転げ、おどろいた蛍がとびかうが、やがて静まる。
 空襲で母と家を失った兄妹の餓死までの過程。

アメリカひじき
 妻がハワイ旅行で知り合ったヒギンズ老夫妻を迎えることになった俊夫は、元進駐軍のヒギンズを必死に歓待するうちに、いつしか戦後の焼け跡での思い出と、それが奇妙に重なっていることに気付く。
 いずれも、太平洋戦争末期から戦後にかけてを背景とした、暗い物語です。
 刑務所での話であったり、継母との禁断の関係の話であったり、それぞれに違う話ではあるのですが、共通するのは、主人公たちの飢えの記憶・食物への執念の強さ。米麦飯乾燥卵すいとんクリームパン、干し芋蒸し芋脱脂大豆、粉ミルクアメリカひじき、そして「反芻」。
 ほかに良く出てくるのは、大人たちの豹変振りでしょうか。敗戦と同時に、連合艦隊全滅だと言い放つ老人、急に元気になる英語教師。戦時中教えられていた「大義」をなまじ理解できる年齢であったがゆえに、こうした大人たちのふるまいは疑問に思えたのかもしれません。しかし、一方で自分も、同じようにずるい事をしているといううしろめたさもあったでしょう。
 戦争の記憶と言うと、飢えのことと、少年の無力感しかない、そういう「焼け跡闇市逃亡派」(解説より)の負のエネルギーを感じる気がします。

 なお、本書は野坂氏の独特の文体で書かれています。通常なら句点となるような部分も読点として、一文を非常に長くしています。
 ですが、リズムが悪いわけではありません。ちょうど、話のうまい人がとうとうと語り続けるような感じです。少し慣れると、話の中に引き込まれるような気がします。
 あらすじ紹介の文で多少真似をしてみました。

総合評価:★★★★★(戦闘には参加せず、ただの子供でもない、微妙な年頃の戦争体験)
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