山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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ヒトラーの戦艦―ドイツ戦艦7隻の栄光と悲劇

エドウィン・グレイ「ヒトラーの戦艦-ドイツ戦艦7隻の栄光と悲劇-」
   都島惟男訳(原題:“HITLER'S BATTLESHIPS”)(光人社文庫,2002)

ヒトラーの戦艦―ドイツ戦艦7隻の栄光と悲劇 (光人社NF文庫)総合評価:★★★★★
 この本で言う「戦艦」とは、第二次世界大戦時にドイツ海軍が保有した、装甲艦(ポケット戦艦)、巡洋戦艦、戦艦のことです。
 かのビスマルクをはじめとするドイツ水上艦の苦闘を躍動感ある筆致で追うのはもちろん、第一次大戦敗戦とスカパ・フローの悲劇からのドイツ海軍再生、「7隻」に入らない旧式戦艦の物語などにも記述は及びます。
 本書全体に関わってくる二人の重要人物がいます。一人はもちろん題名どおりヒトラーなのですが、もう一人、ドイツ海軍総司令官エーリッヒ・レーダー元帥が登場します。
 レーダーは、第一次大戦時にはヒッパー提督の隷下偵察艦隊(精鋭の巡洋戦艦部隊)で高級参謀を務めていたエリートで、ヒトラー首相就任以前(!)から14年間も総司令官職にあった、新生ドイツ海軍の生みの親であり育ての親といっても良い人物です。後にニュルンベルク法廷で戦犯ともなっています。
 ドイツ海軍と言うとUボートと呼ばれる潜水艦が有名ですが、レーダーはむしろ戦艦を中心とした強力な水上艦隊を理想としたようです。とはいっても夢想家ではなく、現に劣勢なドイツ海軍には、採るべき道は通商破壊戦のみであることを認識していました。ただ彼は、そのために潜水艦ではなく、「戦艦」を投入しようと計画したのです。そして、水上戦の不首尾が続き、ヒトラーが全大型艦の退役を命じたとき、レーダーも自らその職を辞するのです。
 戦艦にこだわり続け、また、英国を刺激して開戦することは恐れながらも、政治的外交的判断についてはヒトラーに諫言しなかったレーダーは、良い意味でも悪い意味でも、純粋培養の古き海軍士官であったと言えるかと思います。

 なお、翻訳はこなれていて読みやすいです。ありがちな軍事用語の誤訳も全く無いようです。

総合評価:★★★★★(ドイツ水上艦を学ぶなら、手ごろな一冊。Uボート派も一読を。)
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