山猫文庫第3版

書評と軍事史関連のレポート、その他ニュースを見て感じたことなど日常のあれこれについて。 

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サンディーノ戦記―ジャズ・エイジのヴェトナム戦争

 「回転翼の海鳥たち」の参考資料として読んだ本を紹介。


高橋均「サンディーノ戦記―ジャズ・エイジのヴェトナム戦争」
                      (弘文堂,1988年)

総合評価:★★★★☆
 1920年代から30年代初頭、米国は、中米ニカラグアの内乱に介入していた。
 投入された米海兵隊と、ニカラグア政府、「英雄」サンディーノのゲリラ部隊、暗躍するメキシコなどが入り乱れ、引き際が見出せぬまま戦闘は泥沼化していく。それは、後のベトナムに似ていたのかもしれない。
 内乱以前の中米の概況から、海兵隊の苦闘と撤収、さらには「英雄」の実像まで、ニカラグア内戦を生き生きと描き出したノンフィクション。
 アメリカの裏庭と言われる中米は、歴史上、たびたび米国の軍事介入を経験しています。
 1930年前後にも、ニカラグアの内乱に米軍が介入しています。そして、始めに書いた通り、ベトナムのような泥沼戦に巻き込まれていくわけです。ジャングルの戦い、腐敗した現政権、米軍が教練した政府軍部隊、社会主義国メキシコによるゲリラ支援、残虐な処刑。
 ただ、副題に「ヴェトナム」とあるように、著者自身が、意識的にベトナム戦争と重ねあわせながら書いているので、鵜呑みにするのは危ないかもしれません。

 内容としては、軍事的な部分が多く含まれます。政治的主張の匂いは、あまりしません。
 軍事面の記述は、いくつかの象徴的な戦闘が拾い上げられ、それを並べていくことで、全体像を浮かび上がらせています。結果、やや散漫な印象もありますが、正規戦ではなく、ゲリラ戦がほとんどであるため、やむを得ないと思います。
 著者の軍事知識は、詳細なものがあるようです。安心して読めます。

 感想としては、戦闘全体に、素人臭さが漂っている気がしました。
 まだ、強襲上陸部隊としての性格が定まっておらず、便利屋として投入された海兵隊。
 家族一同を連れて、ぞろぞろ歩くゲリラ。迫撃砲をしらず、大混乱に陥るゲリラ。大規模反撃のために兵力を集中させては、あっさり発見されてしまうゲリラ。

 サンディーノという人物は、ゲリラ戦で米国の支配を打ち払った人物として、中南米では今でも英雄である人物と言います。しかも、米軍撤退直後に、暗殺されてしまったため、余計に神格化された部分があるのでしょう。
 しかし、彼の実像は、やや違ったものであるようです。ゲリラ戦の天才ではなく、軍事的才能は皆無と言うべきように思えます。代わりに優秀な部下はいました。無政府主義志向があるせいなのか、建設的に何かをしたかったわけでも無いようです。米軍撤退が現実化すると、指揮を放り出して、教祖様のようになってしまいます。ただ、教祖様になれるだけの、カリスマ性はあったともいえますか。

 私が参考にしたかったのは、海兵隊が「実戦投入」した、オートジャイロの詳細です。実際、本書に記述はあったのですが、それによると、ほとんど使われなかったようです。著者も、ベトナムとは違い、回転翼機が活躍することはなかったと書いています。
 その代わりに、同じく海兵隊の観測機の活動が、詳しく載っていて興味深かったです。STOL性能を生かしての、負傷者救出などが描かれています。この辺、まるで、後のヘリコプターですね。

総合評価:★★★★☆(第二次大戦前の米海兵隊の実情が垣間見える珍しい資料。)
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